STORY 04
社内のつながりが
チャンスを切り開く
打算なき向き合いがたぐり寄せた
代表への道。
ログミー株式会社
代表取締役
STORY 04
打算なき向き合いがたぐり寄せた
代表への道。
ログミー株式会社
代表取締役
IT業界の最前線で、法人営業から事業立ち上げ、開発組織のマネジメントまでを駆け抜けてきた三浦氏。
2025年、ログミー株式会社の代表取締役に就任した彼女のキャリアを辿ると、そこには常に「人との深い向き合い」があった。
若手時代に編み出した、組織を動かすための泥臭いアプローチ。そして、一切妥協せず部下に向き合った「鬼軍曹」と呼ばれた日々。
ただ目の前の人に深く潜り込み、代表就任への道を切り拓いてきた。その三浦氏の仕事論を深掘りする。
三浦氏のキャリアは、最初から順風満帆だったわけではない。
11年在籍した1社目の若手時代、彼女は「自分がいくら頑張っても、組織や事業全体で課題を認識し変化を起こせなければお客様に価値を返せない」という組織の壁にぶつかっていた。
「最初に配属された事業は労働集約型の事業で全社会で利益率が悪いと言われてとても悔しい思いをしていました。自分なりにPLを理解するために本を読んで勉強したり、案件と顧客に注ぎ込むパワーは当時の全力以上。周りの同僚もかなり消耗しかけていました。自らバスを降りるのは簡単ですが、やり切る前に辞める決断を決めるのがとても苦手で、どうすればいいか模索していました。
売上や利益を出すために突き詰めていくと、必ず社内に『この人に動いてもらわないと変化が起こせない』というキーパーソンが見えてくる。私はその人をどう『落とす』か、『納得してもらうか』を必死に考えていました。お客様相手には自分が頑張ればいい。でも社内の仕組みを変えるには、現場がよくわかっている自分たちからキーパーソンへの説得が必要だったんです」
彼女が取った行動は、他部署のキーパーソンに話を聞いてもらえる実績をまず出すことと、あらゆる機会で接点を持つこと。同じ案件に潜り込んだり、移動の電車内などの隙間時間を狙って話しかけたり、飲みにいったりして、自分の考えをぶつけ続けた。
こうした「個」への深い潜り込みは、ライフステージの変化という大きな壁さえも無効化した。
「産後復帰後、新しいポジションを任せてもらえたのも、この積み重ねがあったからだと思います。特定のキャリア軸があったわけではありません。会社や組織を成長させる、お客様に満足していただく。そのステークホルダー目線で何ができるかを考え、キーパーソンと合意形成を続けてきた結果、周りが『あっちでやってみないか』とチャンスを運んでくれるようになった。制約がある時期にこそ、それまでの信頼の貯金が新しい役割を呼び込むことにつながりました」
その後、数々の現場でマネジメントを担うようになった三浦氏は、部下に対して一切の妥協を許さない「鬼軍曹」として知られるようになる。
彼女にとってマネジメントとは、単なる業務管理ではなく、相手の人生へのコミットメントだった。
「めちゃくちゃ怖い営業上司でした。泣かしちゃったこともあります。でも、誰にでもそんな熱量を使えるわけじゃないんです。向き合うのはすごくカロリーが必要で、目の前の子たちを育てることで精一杯でした。でも、『次はこの子にこういう立ち位置を持ってほしい』『マネージャーになってほしい』と願うからこそ、ガッと指導し、求めていく。その熱量が、結果的に組織としての強さになっていきました」
この「本気の向き合い」は、時を経て意外な形で報われる。
当時の部下たちが、今では他社の責任者や独立した立場となり、「あの時の指導が僕の原点です」と、代表就任のお祝いや食事に誘ってくれるのだ。
打算のない深い関わりが、退職後も続く強いつながりとなった。
「自分の部下だった子が卒業して、今では赤ちゃんみたいだったのが嘘のように活躍している。それを聞くのが何より嬉しいですね」
2025年、三浦氏は代表取締役に就任した。
しかし彼女自身、「社長になろうと思って目指してきたわけではない」という。
今回の就任も、野心の末ではなく、積み上げてきた縁が彼女をその場所へと運んだ結果だった。
「今回はあくまでご縁があって、このポジションに立たせていただいた。社長という役割自体も、これまでの仕事への向き合い方がつないできてくれたものだと思っています。だからこそ、代表になった時に一番嬉しかったのは、自分自身のことよりも、周りの人たちが自分のこと以上に喜んでくれたことでした。私が社長になることを、まるで自分のことのように喜んでくれる人たちがいた。それが、仕事を続けてきて良かったと思える最大の瞬間でした」
就任時、名刺が更新された通知をきっかけに、20代の頃に出会った顧客からも祝福が届いた。
「当時はただのプレイヤーだった私を、誰かが記憶の片隅に留めていてくれた。不思議なもので、狙ってつながりを保とうとしなくても、懸命に向き合っていた頃の私を誰かが覚えていてくれる。それが時を経て、お祝いのメッセージだったり、新しい仕事の相談だったりとして返ってきてくれました。当時は、いや今もですがただ必死だっただけ。でも、その時の頑張りが、忘れた頃に今の自分を助けてくれる。過去の自分が、今の自分を支える土台を少しずつ作ってくれていたんだな、と実感しました」
キャリアを積み上げる中で、ライフステージの変化は避けられない。
三浦にとっても、出産を経て時間に制約が生まれた時期は大きな転換点だった。
しかし彼女は、そこで歩みを止めるのではなく「自分はどう在るべきか」というスタンスをより鮮明にすることで、道を切り拓いてきた。
「子供が赤ちゃんの期間は、自分でも制約を設けると意思決定していました。でも、少しずつ前の自分を取り戻したいと思った時、私は『ママであることを言い訳にせず、でもママの部分も大切にする自分』というスタイルを全部出すことにしたんです。例えば『飲みに行けないですよね?』と聞かれたら、『週に1回なら調整できるので、ここに合わせてもらえれば行けます!』と即答する。自分のスタイルを自分で決めて、それを周囲に自己開示する。それが、無理をして周りに合わせるのではなく、限られた時間の中で自分らしくパフォーマンスを出し続けるための秘訣かもしれません」
外の世界へ積極的に自分を売り込みに行くことは少ない。
けれど、かつて共に戦った仲間たちが今どこで、どんな挑戦をしているのか。
その歩みを眺めることは、彼女にとって自身のキャリアを再定義する大切な時間だ。
「同じ世代の仲間たちが、本業以外でライフワークに挑戦していたり、副業を通じて自分のやりたいことを形にしていたり。あるいは、全く違う分野にまで活動の幅を広げているのを知ると、『あれ、どうやってそこまで辿り着いたんだろう?』と、すごくワクワクするんです。
私自身、いつかチャレンジしてみたいライフワークを想像することがあります。だからこそ、Eightなどを通じて身近な人たちのキャリアの変遷を知れることは、刺激になりますね」
かつて厳しかった上司とは、今では家族ぐるみの付き合いを続けている。
また、かつて厳しく教えた部下は、結婚式に呼ばれる関係性にもなった。
会社という枠組みがなくなった後も、仕事を通じて本気で向き合ってきた記憶は、形を変えながら彼女の人生の一部となっている。
![]()
目の前の仕事一つひとつに、泥臭く、誠実に向き合い続けてきた。
その積み重ねが、かつての上司や部下、そして顧客までもを動かし、彼女をリーダーの座へと押し上げた。
「今の頑張りは、いつか必ず未来の自分を助けてくれる」
組織の壁や環境の制約に悩むすべての働く人にとって、彼女が切り拓いてきた道は、
確かなヒントになるはずだ。![]()