不動産事業や宿泊事業を展開している株式会社ユニスト・ホールディングスでは、広報の責任者採用にSansan株式会社のEight Career Designを活用し、幅広い知識を有する経験者1名の採用に成功しました。実際に採用となった方にも同席いただきながら、活用のコツや候補者の心を掴んだポイントを探ります。
毎日のように応募があっても、条件が合わず苦戦。不動産デベロッパーが求めた広報スペシャリストの条件
<お話を伺った方>
代表取締役 今村 亙忠様
コーポレート本部 経営企画チーム 主任 天野 彩様
コーポレート本部 経営企画チーム 亀島 綾華様
コーポレート本部 経営企画チーム 課長 山中 敦史様(Eight Career Design経由で入社)
──ユニスト・ホールディングスの事業内容や組織体制を教えてください。
今村様(以下、今村):当社はホールディングス体制をとっており、主に3つの事業を柱としています。グループ会社の「日本ユニスト」では、不動産企画販売・開発販売と、熊野古道での宿泊施設の運営を、「ホテルマネジメントいとをかし」では、ホテル総合運営事業をおこなっています。不動産事業をキャッシュエンジンにしつつ、熊野古道の事業で地方創生に貢献しているという点は、当社ならではのユニークな特徴と言えるでしょう。
なお、これらの事業全体を管轄し、経営やバックオフィス業務を担うのがユニスト・ホールディングスです。今回Eight Career Designで採用となった広報責任者である山中も、ユニスト・ホールディングスの所属となります。

ユニスト・ホールディングスにおいて、広報はどのような役割でしょうか。
山中様(以下、山中):不動産や宿泊施設の事業を推進していくためには、大きな資金が必要です。広報では、金融機関や投資家から資金調達をスムーズに進めていくためのカギとなる、IR等の外部発信業務を担っています。また、ホテルの認知促進や集客にも広報は必要。どのターゲットにどの施策を打つのか、ホールディングス全体の広報戦略を練って実行していく役割と言えるでしょう。
──広報採用にあたり、求めるスキルや条件はありましたか。
天野様(以下、天野):明確に6つの条件を設定し、人材紹介会社を4社ほど活用して採用活動をしていました。具体的には、「プレスリリースの作成・発信(3年以上)」、「メディアプロモート経験(2年以上)」、「インタビュー記事の執筆経験(10件以上)」、「IRの経験(1年以上)」、「アウターブランディングの経験」、「インナーブランディングの経験」です。当初は幅広い範囲の経験をもつ、広報分野のスペシャリストを求めていました。

──かなり具体的で高難易度ですね。人材紹介会社を活用するなかで、採用の課題感はありましたか。
天野:ありがたいことに毎日のように応募はいただいていたのですが、求めるスキルを持った人材にはなかなか出会えませんでした。100名ほど書類選考で審査しましたが、そのうちの8割は応募要件を満たしておらず、見送る結果となっています。なかには、6つの条件のうち1つも満たしていないケースもありました。
また、選考のなかで顕著に感じたのは、「戦略設計の経験がある人は実務を経験しておらず、実務を経験している人は戦略設計の経験がない」ということ。この傾向をもとに、実務のスペシャリスト1名と、責任者となるゼネラリスト1名を採用する方針に転換しました。ちなみに今回のEight Career Designは、責任者のゼネラリスト採用で活用しています。
広報+αの知見を持つ人材を1ヶ月でスピード採用。経験を活かしバックオフィスのマネジメントポジションに登用
──Eight Career Designの導入に至ったきっかけや決め手を教えてください。
天野:実は5年ほど前に、Eight Career Designを試したことがありました。ただ、当時のサービスはまだ発展途上で、転職意向度や年齢などの情報が十分に把握できず、思うような手応えを得られない結果に終わってしまったと記憶しています。
しかし、今回改めて過去との違いについて提案を受け、再びチャレンジしてみることに。現在のEight Career Designは転職意向度や年齢といった判断材料が増加し、スカウトを送る側として非常に使いやすいサービスになっていたことが、導入の決め手です。

──実際にEight Career Designを使ってみて、どのような結果となりましたか。
天野:2024年9月から導入し、1ヶ月以内に99通のスカウトを送信しました。うち11名から前向きな返信をもらっています。スカウト送信の翌日から1週間以内に返信をくれるような、温度感の高い候補者も多かったですね。採用となった山中さんへは9月下旬にスカウトを送信し、10月中旬には最終面談を実施しています。わずか1ヶ月でのスピード採用となりました。
──山中さんは、前職でどのような広報経験を積まれてきたのでしょうか。
山中:前職は産業機器の専門商社にて、イベントから広告戦略まで、幅広い広報業務を担当していました。業務によってグラデーションはあれど、ユニスト・ホールディングスが提示していた広報の「6つの条件」は、なにかしら携わったことがある状態でしたね。また、管理部門、システム部門、新卒採用部門など、広報の枠を超えて横断的に手伝っているうちに、多方面の知識と経験が身についていました。

天野:山中さんの幅広い経験とご本人の意向を加味して、広報だけでなく「総務・人事労務・法務・DX・広報」の5分野をカバーする、バックオフィス全体のマネジメントポジションとして入社いただくに至っています。
──結果的に、広報はもとより幅広い領域をカバーできるマネジメントポジションの採用に成功されたのですね。ちなみに、山中さんは転職活動をされていたのでしょうか。
山中:当時は転職を考え始めていたタイミングです。名刺アプリ「Eight」はもともと活用していたので、「本当に自分にスカウトが来るのだろうか」と思いつつも、試しに転職意向度を入力してみました。すると数日以内にスカウトが届いたので、正直驚きましたね。
個別にカスタマイズしたスカウトや、プッシュしすぎないカジュアル面談が、転職潜在層の心を動かす
──ここからはEight Career Design活用時に工夫されたポイントについて、実際にアプローチを受けた候補者側の視点も交えてお伺いしていきます。まず、スカウトで工夫した点はありましたか。
亀島:スカウトの工夫は2つあります。1つは、最初の「○○様」の前にタイトルを追加し、責任者や重要ポジションでのオファーであることがひと目で分かる冒頭にしたこと。スマホのポップアップ通知でも目を引くよう意識しました。もう1つは、内容はある程度個別にカスタマイズし、どういった経歴を見てスカウトしたのか記載すること。会社情報やアピールは後半に回して、まずは「あなたへオファーしています」ということがしっかり伝わるようにしました。

──スカウトを実際に受けた山中さんは、どのように感じましたか。
山中:「誰でもいいわけではなく、自分に対して送ってくれている」と感じたので、シンプルに嬉しかったです。何度か転職経験があるため、各種サービスからさまざまなスカウトが送られてくるのですが、どこも定型文ばかりで「文面だけ見てもよく分からない」というのが本音です。一方で、ユニスト・ホールディングスのスカウト文面は、私を理解したうえで送ってきてくれていることが伝わりました。それだけで、求職者側の熱量はまったく異なってくるのではないでしょうか。
──加えて、カジュアル面談での工夫についても教えてください。
天野:これまで採用担当として数々の面接をしてきましたが、カスタマーサクセス担当からのアドバイスをもとに、山中さんとのカジュアル面談の際、ガラッと変えたことがありました。
それは、営業担当が普段営業活動の中で使っているグループ全体の説明資料を活用し、カジュアル面談の冒頭10~15分程度、事業内容について詳しく説明する時間を設けたことです。どれだけ当社が他社とは違うユニークなことをしているのか、特徴や強みをしっかりとこちらからお伝えしたうえで、候補者との対話に移るようにしました。

──こちらも山中さんは実際にカジュアル面談を受けてみて、どのように感じましたか。
山中:とても好感が持てました。面接や面談のやり方は会社によってさまざまですが、一般的には希望年収や経歴など、求職者側の情報をとにかく引き出したいというスタンスの会社が多いのではないでしょうか。ユニスト・ホールディングスのように資料を提示して、しっかりとご説明いただけたことは、これまでの経験上少ないです。「うちはこんな仕事をやっているけれど、興味はありますか?」というスタンスには非常に親しみやすさを感じましたし、転職潜在層向けのEight Career Designだからこそ、急かされることなくざっくばらんに会話ができたのだと思います。
名刺情報をもとにしているからこそ、競合他社の人材へ確実なアプローチが可能
──Eight Career Designはどのようなときに活用するのが有効でしょうか。
今村:明確にバイネームで「この企業の人材が欲しい」という会社があるときは、特に有効なのではないでしょうか。名刺情報をもとにしているからこそ、競合他社の人材へ確実にアプローチできることが魅力的です。
候補者としても、競合企業であればきっと名前を知っていて、普段から意識しているはず。Eight Career Designは転職潜在層向けのサービスだからこそ、まったくの異業種へスカウトを送るより同業他社を狙った方が、好反応を期待できるのではないかと考えています。
──最後に、会社としての今後の展望と、それを踏まえた採用計画について教えてください。
今村:当社は6年先までの事業計画を立てているのですが、現在それを「3年前倒し」で進めるにはどうすべきか、方策を練っている状況です。
スピード感をもって事業を成長させるためには、キャッシュエンジンとなって他事業を後押しする、不動産事業の拡大が必須。よって、まずは不動産営業職の採用に注力していく予定です。当社の事業計画と、自分のキャリアイメージを照らし合わせたうえで、「会社も自分も成長できそう」と感じていただける方と、一緒に働いていけたら嬉しいですね。
※インタビュー内容は、2025年3月17日時点のもの
執筆・撮影:安光あずみ