高いスキルと知識が必要な福祉用具営業。経験者のマネージャー採用に苦戦
<お話を伺った方>
取締役 林 泰樹様
営業リーダー 佐々木 中様
人事 岩田 はな様
──ニックはどのような事業を展開されている会社ですか。
佐々木様(以下、佐々木):ニックは個人や法人に対して、車いすや介護ベッドなど、福祉用具のレンタル・販売をしている企業です。なかでも介護保険制度を活用した個人へのレンタル・販売が売上の8割を占めています。
──となると、貴社での営業の仕事は、介護が必要な高齢者の方などに直接、車いすの提案をしにいくようなイメージでしょうか。
佐々木:いえ、対個人へのレンタルであっても、まずは各施設に所属するケアマネージャーのもとに向かい、ヒアリングのうえで利用者様を紹介してもらいます。そこからは利用者様一人ひとりへのアプローチです。BtoCとBtoBの中間にあたるような、ちょっと特殊な仕事かもしれませんね。
ケアマネージャーに信頼されなければ利用者様は紹介してもらえませんし、個人で購入いただいたお客様とは利用状況の確認などで継続的なお付き合いがあります。法人営業・個人営業、どちらのスキルも必要な仕事と言えますね。また、介護保険法の知識も必須ですので、独り立ちするまでに中途入社なら2~3ヶ月ほど、新卒入社なら半年ほどはかかります。
──福祉用具の営業は特殊かつ高難易度なのですね。営業職採用においては、これまでどんな課題があったのでしょうか。
岩田様(以下、岩田):営業所をまとめるマネージャー人材の不足が喫緊の課題でした。当社は新卒採用を実施していますので、若手人材は毎年増加しますが、マネージャーになるにはまだ早い年齢層が多かったり、マネージャーになり得る年齢の人材でも、向き不向きはあったりします。外部からの経験者採用で不足を補い、マネージャー人材の層を厚くしていきたいと考えていました。
佐々木:また、東京にある営業所が規模拡大に伴い、2分割されるタイミングだったため、分割された片方の営業所の管理ができる即戦力人材を求めていました。
──Eight Career Design導入前、他サービスでの採用状況はいかがでしたか。
岩田:苦戦しました。成功報酬の求人媒体では人材の質がピンキリですし、ハイクラスエージェントだと業界的に、条件の合う人が見つかりにくいです。人材紹介サービスでは担当者が当社に合う人材を精査してくれますが、採用コストが高いのが悩みでしたね。
同業他社へのアプローチに勝機を見出し導入。経営層主導でスカウト送信
──Eight Career Designはどこでご存知になりましたか。
林様(以下、林):当社ではかねてより、名刺アプリ「Eight」を導入しています。マネージャー採用に苦戦していたタイミングに、Eightからたまたま届いたEight Career Designのサービス紹介メールが気になり、問い合わせに至りました。
──もともと名刺アプリ「Eight」をご利用いただいていたのですね! Eight Career Designを導入しようと思った決め手はなんでしょうか。
林:「Eight Career Designなら同業他社の人材を直接スカウトできるかもしれない」と感じたからです。業界ならではの知識やスキルが必要な仕事ですし、可能であれば同業他社から採用できるに越したことはありませんので。
通常、エージェントでは面接で本人から履歴書を受け取ったときに初めて、前職や経歴の詳細が分かりますから。スカウトの時点で経歴が見えるのは、名刺情報をベースにするEight Career Designならではの強みだと思いました。
──導入後、実際に同業他社へスカウトを送ったのでしょうか。
林:はい、最初は狙い通り、同業他社へスカウトを送りました。しかし、そもそも母数が少ない同業他社の営業職のなかで、転職潜在層を動かすのは難しかったです。途中で方針転換し、対面営業職経験者で、転職意向度が高めの人へ送信するようにしました。
──スカウト文面にはどんな工夫があったのでしょう。
林: 300文字以内の短い文面となるように作成していました。名刺アプリ「Eight」はスマホで利用する人も多いので、「スマホ画面でも見やすい簡潔な文面にしたほうがいい」というカスタマーサクセスからのアドバイスは納得感がありましたね。
──スカウトは林様が自ら送信されていたのでしょうか。
林: はい。カジュアル面談は他のメンバーに任せていましたが、入口となるスカウトは経営層が担当することにこだわっていました。他の業務と並行でスカウトを送るのは大変ではありますが、「経営層なら、人材採用を一番に考えなければ」と。また、経営層中心に動けば、採用活動のスピードが早まるため、動きの早い転職市場において有利に働くのではないかと思います。
転職潜在層への早期接触で、営業マネージャー1名の採用に成功
――カジュアル面談では何名に会えましたか。また、採用につながった方はいますか。
岩田:2024年5月の利用開始から、2024年10月時点で4名の方にお会いしています。あと1名、面談設定中の方がいますね。4名のうち、1名は採用につながり、2024年9月に入社しました。この方は「めぐり会えてよかった」と思える、優秀な人材です。
――採用に至った方について詳しく教えてください。
岩田:ビジネスホテルのリネン(シーツやベッドカバーなど)の清掃会社で、営業をしていた方でした。前職では次長職で、マネジメント経験があり、パート30人、正社員数人を管理していたそうです。積極的な転職活動はしていない段階でしたが、転職しようか悩んでいるタイミングのようでした。Eight Career Designだからこそ、転職潜在層にアプローチすることができましたね。
──他業界から営業のマネジメント経験者を採用できたのですね。転職潜在層の候補者に対して、志望度を高めてもらうために、カジュアル面談で工夫したポイントはありますか。
岩田:「どんなポジションがあり、どんなビジョンがあるから、あなたにスカウトを送りました」という理由は明確に伝えるようにしています。たとえば今回採用に至った方は、正社員に対してのマネジメント経験をさらに積んで、スキルアップにつなげたいという意向がありました。
当社は、1営業所あたり10名弱の正社員メンバーで構成されており、一人ひとりに対して、対面での丁寧なマネジメントが可能です。小規模営業所だからこそ、マネジメント経験を積んでいくための環境が整っているというメリットを率直に伝えました。
――カジュアル面談では事業内容や仕事内容についても説明するのでしょうか。
岩田:他業界の方は、「福祉用具の営業会社」と言われてもなかなかピンと来ないと思います。だからこそカジュアル面談では事業内容より、カルチャーや組織体制、今後の介護業界の展望などをメインで紹介しています。カスタマーサクセスからのアドバイスをもとに、カジュアル面談のための専用資料も作成しました。
――スカウトから採用に至るまで、カスタマーサクセスの支援はいかがでしたでしょうか。
岩田:積極的に改善案を提案してもらえる点がありがたかったです。提案内容もやみくもではなく、CVR(成果率)などのデータに基づくものであり、「成果につながる提案」をもらっている実感がありました。
年々難化する新卒採用から、中途メインの採用活動へとシフトしていきたい
――最後に、今後の採用戦略を教えてください。
林:新卒採用をやめて、中途採用にシフトしていってもいいのかもしれないと考えています。当社は過去10年以上、途切れることなく新卒採用を継続してきましたが、新卒市場は厳しくなってきており、エントリー数は年々減少傾向にあります。今後もエントリー数が減少していけば、人材の質の低下やミスマッチの増加は避けられないでしょう。
無理に内定を出したところで、会社のためにも、学生のためにもなりません。それならば新卒採用にこだわらず、優秀な若手人材を定期的に中途採用で獲得していくスタイルも有効だと感じています。Eight Career Designを含め、さまざまなツールを使いながら、中途採用強化を模索していきたいです。
※インタビュー内容は、2024年10月23日時点のもの
執筆・撮影:安光あずみ