コストを抑え、DX人材を採用する手法とは
セミナーレポート
2021年1月21日 開催

採用業務の効率化で実現!コストを抑え、DX人材を採用する手法とは

これまでの人材採用は「転職市場で行う」ことが一般的でした。しかしさまざまな環境の変化に伴い、特にDXなどの専門性をもつ人材獲得のためには、これまでとは違った新しい採用手法を導入することが不可欠です。

今回はHRサービス「HITO-Link(ヒトリンク)」を展開する、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社の浅沼 祥氏、そして弊社の採用ソリューション「Eight Career Design」を担当する西島から、コストを抑えてDX人材を獲得する手法についてのオンラインセミナーを開催いたしました。その内容をダイジェストでお届けします。

登壇者

浅沼 祥(あさぬま・しょう)

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
システムソリューション事業部 マネージャー

新卒で同社に入社後、業界最大手のSEを経て、HR×ITのサービス企画に参画。HRサービス「HITO-Link(ヒトリンク)」のセールス、カスタマーサクセス、サポートの知見を生かし、100社を超える企業様へ提案営業から定着支援まで幅広く変革支援を手掛ける。

西島 洋明(にしじま・ひろあき)

Sansan株式会社 Eight事業部
Eight Career部 営業マネージャー

WEB広告代理店、GYAO、クックパッドを経て、2017年にSansan株式会社に入社。2019年にEight Career Design最初のセールス担当として立ち上げに従事。これまで1,000社以上の採用担当者と対話。

専門職人材の転職トレンドを踏まえた新たな採用手法とは

はじめに弊社西島から、新たな採用手法の必要性とその背景、具体的な方法についてお話させていただきました。

AIやDXなどの高度な専門性を必要とする技術の普及や国際競争の激化、メンバーシップ型の育成の限界など、国内企業を取り巻く情勢は、近年大きく変化しています。

そんな中、国内の労働市場を見てみると、2030年には644万人の人手が不足するというデータが発表されています。

国内の労働環境について

ここで企業に求められるのが、優秀な人材の確保です。現状、多くの企業が転職市場から人材を採用していますが、実はその中にいるのは国内労働人口のわずか5%に満たないと言われています。今後さらに人口が減少していく中で、この市場での人材確保競争はさらに激化していくことは想像に難くありません。

そんな中で求められるのが、新しい転職市場へのアプローチです。

新しい転職市場へのアプローチ

具体的には検討層や、現職で活躍している層など、今までアプローチできなかった市場に対して、自社の採用力を強化してアプローチしていかなければ、今後市場で生き残っていくのは難しいと考えられます。

母集団形成が難しいなら、攻めの採用が必要

採用市場の中でも、特に難しいのが専門人材です。採用における課題点にはこのような内容が挙げられます。

・希少性が高くアプローチできない
・企業の知名度に関わらず、新規のポジションのため応募がこない

いずれも母集団形成が困難な状況だと言えます。

こうした中でどのような採用手法をとっていくのがよいのでしょうか。

ダイレクト・リクルーティング運用の意義

こちらのグラフは、応募数と対象者の状況に合わせて、的確だと思われる採用手法を当てはめたものです。

西島は、手放しで応募が多い企業はほとんどないと言います。専門人材ともなればなおのこと。

このような、希少性の高い人材で、かつ募集しても認知されないような、母集団形成が困難なカテゴリーにおいては、直接アプローチすることで候補者との関係構築を行うことが必要だといいます。

専門人材採用のために必要な「惹きつけのフロー」

では専門人材にアプローチした場合、どのように採用に結びつけていくのがよいのでしょうか。この時に重要となるのが、候補者の見極めと惹きつけです。

惹きつけとは、アプローチした相手に対して自社を魅力的に感じてもらうことを指します。惹きつけには3つのフローがあり、各工程で候補者に魅力を感じてもらうことが必要です。

候補者の見極めと惹きつけの重要性

オンラインによる「惹きつけ」の方法は?

近年はオンラインで候補者にアプローチすることも多くなりました。西島は、オンラインでも、惹きつけの方法は直接会う時と変わらないといいます。

候補者を惹きつける方法とやってはいけないこと

ここからは、Sansanで実際に行っている惹きつけの方法について話がありました。

西島「弊社ではまず、選考に入る前に、まずカジュアル面談を実施し、候補者を惹きつけます。さらに惹きつけは選考中にも行います」

その中で、具体的に行っていることは以下2点だといいます。

・候補者が魅力だと感じる内容を言語化して接すること
・惹きつけの勝ちパターンを探す

具体的な惹きつけ事例

カジュアル面談の際にやるべきこと、やってはいけないこと

カジュアル面談とは選考の前に、候補者に企業のことを知ってもらうとともに、関係構築のきっかけを作るための工程です。ここで候補者にとって興味のあることや魅力に感じることを引き出し、言語化することが必要となります。

しかし中には、「君はなにができるの?」と選考さながらの質問をしてしまう方も。これでは候補者が魅力に感じていることを聞き出すことはできません。

惹きつけのよくある失敗例

また西島は、自社が思う会社の魅力ばかりを伝えて良く見せすぎるのも良くないといいます。

西島「それはホームページで見ても伝わる内容なので、ここでは少し弱みや社内のリアルな部分を見せることが必要です」

カジュアル面談で候補者を惹きつけるために行うべきこと

西島は、カジュアル面談を行う上で大切なこととして「目的を設定すること」を挙げました。

西島「カジュアル面談は何をする場なのかをきっちり決めることが大事です。

弊社の場合は志望動機を聞くのではなく、それを候補者が作るための材料を渡すことをミッションとしています。つまりカジュアル面談を通して、選考への意欲を高めてもらうことが目的です。

ですので、わたしたちはここで見極めをしていません。カジュアル面談を担当してもらう社員には、まずは候補者に選考を受けていただくためにこれを行うんだということを共有して取り組んでいます」

そのために事前に行っているのが、候補者に対するヒアリングです。事業内容や企業文化、キャリアパスなど、カジュアル面談でどんなことを聞きたいのかを事前に確認します。

カジュアル面談:面談までの準備

続いて、候補者に合った社員をアサインします。この時、絶対に採用したい方であればGMや執行役員をアサインすることもあるといいます。

またカジュアル面談時に書類が揃っていない場合はヒアリングシートをもとに、候補者の聞きたいことを話せる現場のチームリーダーや人事で対応することが多いとのこと。これはケース・バイ・ケースだそうです。

西島「候補者の皆さんは、次の自分のキャリアがどうなるかを見たいので、現状のポジションのひとつ上の役職をアサインすることもあります。そうすると『3年後あなたは私みたいになってますよ』といった、手触り感のあるカジュアル面談になるかなと。
こうしたことはケース・バイ・ケースで考えています」

いずれにしても、大事なのは誰をアサインするのかをしっかり考えることだといいます。

選考中はフォロー面談で候補者を惹きつける

続いて選考中の惹きつけとして、Sansanではフォロー面談を随時行っています。その目的は2つあるといいます。

選考中の惹きつけ:フォロー面談について

<選考中のフォロー面談の目的>
・内定承諾率の向上
・オペレーションチックになりがちなやりとりの簡略化

フォロー面談では選考を受けてみた感想や収入の話、いつ頃転職するのかなど、選考ではなく候補者に寄り添い、転職が成功するようにフォローするような話を、人事担当者が行っています。

ここで重要なのが「全ての面談を通して、担当者が違っても同じレベルで会社のミッションなどを話せること」だといいます。そのためにSansanで行っているのが4P分析による言語化です。

惹きつけるための極意:自社の強みを言語化(4P)

西島「ここでは候補者がエンジニアだった場合についてお伝えします。例えば「仕事・事業」だと『名刺管理は入り口にしか過ぎない。弊社は名刺管理だけで終わる会社ではありません』といったことを伝えます。

一方「人材・風土」であれば、エンジニアの主導文化であること、上司が優秀で、根拠ないプロジェクトを振ってくるようなことはほとんどないといったことなどです。

惹きつけの際には、自社だけが持つユニークな価値を伝える必要があります。自社の強みを分析し、職種別に惹きつけのポイントを押さえています」

まとめ

現状の業務効率化で新たな採用手法を実現

続いて浅沼氏から、「新たな採用手法実現のための、採用業務効率化・コスト削減のポイント」についてお話しいただきました。

採用担当者の現状と業務効率化の必要性

採用担当者の置かれた状況

先程の西島の話にもあったとおり、近年は新しい業務領域が拡大しており、その中で採用担当者に求められるスキルも高度化しているといいます。こうした中で、既存業務をしっかり行いながら、新規領域に踏み込むためには、業務の効率化が不可欠といえます。

業務を効率化できれば、担当者が少ない場合にも採用効果を最大化させることができます。また業務を属人化しないためにも、業務効率化は重要な観点だと言えます。

採用業務を効率化するための9つのポイント

では具体的に、効率化できるポイントはどこにあるのでしょうか。浅沼氏は計画立案から入社までのフローの中で、業務効率できるポイントは9つあるといいます。

効率化のポイント

<採用業務における9つの業務効率化ポイント>
企画立案
・効果計測

母集団形成
・媒体取込
・進捗管理

選考
・日程調整
・各種連絡
・選考管理

内定・惹きつけ
・情報共有
・書類作成

入社
・事務作業

ここからは採用フェーズ毎に、効率化のポイントをご紹介していただきました。

計画立案

計画立案のポイントは「効果計測」。必要な分析軸をあらかじめ複数テンプレート化しておくのがよいそうです。

効果計測の効率化

浅沼氏によると、事業部や現場へのフィードバックの際に使用する採用分析の軸には、いくつかパターンがあるそうです。例えば母集団形成や応募経路別の進捗率、紹介会社別の進捗率などが挙げられます。

こうした、フィードバックに必要な分析軸をあらかじめ複数テンプレート化しておくだけでも、見たい情報をすぐに取り出すことができ、報告のスピードを高めることがかのうになります。またボトルネックが何かをすぐに可視化できるようにもなるため、仕組み化しておくのがよいそうです。

母集団形成

母体形成における業務効率化のポイントは、「媒体取込」「進捗管理」の2つです。

母集団形成のために複数の求人メディアやエージェントを活用される方が多いのではないでしょうか。それでは媒体ごとに候補者情報をCSVなどでダウンロードして候補者にご連絡したり、それぞれの進捗を確認したりといった作業が必要になります。

こうした点を、各メディアの情報を自動的に吸い上げたり、出力、管理できる採用管理システムを利用することで、作業効率化や属人的なミスを防止につなげることができます。

媒体取込の効率化

さらに、人の手を介さずに各媒体の進捗を一元管理することができれば、確認したい項目を一度に可視化することも可能です。その結果、候補者へのアプローチや、エージェント事業者への連絡といった、本来集中するべきアクションに割ける時間が増えます。

媒体取込の効率化

選考

選考フェーズでは主に「日程調整」「各種連絡」「選考管理」の3つのポイントを効率化することができます。

特に日程調整に関しては、面接官のスケジュールの確保やキャンセル時の対応、リマインドなどを、複数の媒体で行わなければならないため、お困りの人事担当者様も多いと言います。

こうした点についても、採用管理システムを使えば一元的に管理でき、さらにワンクリックですべての処理を完了することが可能です。

日程調整の効率化

また各種連絡についても、採用管理システムの活用でかなり効率化できる部分だといいます。

浅沼氏「合否連絡など複数の方々にメールをお送りする際に、一名ごとに丁寧に作成しているという方もいらっしゃると思います。採用管理システムの中では、それぞれの評価や合格の履歴、理由などを吸い上げてメールに転記をし、文章を作成することも可能です」

もちろん履歴書や職務経歴書も、セキュリティを担保した中で一元管理することができるといいます。

内定/惹きつけ

このフェーズで効率化できるポイントは「情報共有」「書類作成」。

選考ではカジュアル面談をはじめ、選考の中でどんな話をしたのか、どんな感触だったのか、またどんな話が刺さるのかといった点を記録として残し、全体で共有することが、効率化だけでなく精度向上にも繋がるといいます。

情報共有の効率化

またこのフェーズではオファーレターの作成なども必要になります。採用管理システムを活用すれば、こうした書類もワンクリックで候補者に送ることが可能だといいます。

入社

候補者が無事入社したあとの事務作業も、業務効率化のポイントの一つです。

浅沼氏「内定者や入社者のデータを、労務管理や人事管理システムに残し、入社後のパフォーマンスを管理するケースもあると思います。採用管理システムによっては、その部分もワンクリックで簡単に行うことが可能です。」

最後に浅沼氏は、採用業務の効率化が必要かどうかのチェックリストをご提示。チェックが3つ以上付く場合は効率化の余地があるそうです。ぜひ採用管理システム導入検討の際の基準としてご活用ください。

効率化のチェックリスト

DX人材獲得のために業務効率の見直しを

新しい採用手法を運用するためには、現状の採用業務を見直し、効率化することが必要です。特にダイレクトリクルーティングなどの攻めの採用は、待ちの採用よりも工数がかかるといいます。業務効率化は、これまでの業務に忙殺されることなく、会社の未来を担う人材確保の体制をいち早く整えるために必要な過程と言えます。今回の内容が、これまでの採用の効率を見直し、新しい採用手法の迅速な導入につながれば幸いです。

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