アライアンスや出資、M&Aやプロダクトの開発、マーケティング、PR戦略の立案など、事業開発の領域は多岐にわたります。そのため推進者には、特定の知識やスキルを持つ適切な人材をアサインすることが必要です。
しかし経験者や専門知識を持っているプロフェッショナルな人材の協力がなかなか得られず、事業立ち上げが失敗に終わってしまうケースもあるのではないでしょうか。
今回は事業開発における新規事業、新規事業人材の手法を明らかにした上で、必要な人材を集めるポイントについて、Spready株式会社の佐古 雅亮氏にお話いただいたセミナーの様子をダイジェストでお伝えします。
登壇者
佐古 雅亮(さこ・まさあき)
Spready株式会社 代表取締役
2008年にパーソルキャリア株式会社の前身である株式会社インテリジェンスに入社し、スタートアップ支援事業の立ち上げなどを経験。2018年5月に“やりたい”に出会い続ける世界をつくることを目的にSpready株式会社を設立。ベンチャーキャピタルのHRアクセラレーター経験があり、特にスタートアップ関連に明るい。
西島 洋明(にしじま・ひろあき)
Sansan株式会社 Eight事業部
Eight Career部 営業マネージャー
WEB広告代理店、GYAO、クックパッドを経て、2017年にSansan株式会社に入社。2019年にEight Career Design最初のセールス担当として立ち上げに従事。これまで1,000社以上の採用担当者と対話。
新規事業の検証期の壁と必要な要素
佐古氏:新規事業の立ち上げでは、必ずぶち当たる壁があります。それが「事業検証のための情報の取得手段」です。
佐古氏:新規事業の構想から推進のタイミングにはいくつもの検証があり、そこで情報が必要になります。
その中でも重要なのが、支援者やビジネスパートナーといった、「関係人口」を集めていくことです。
佐古氏:関係人口を発掘して、その方々と継続性のある関係を構築することが、事業の立ち上げには必要不可欠といえます。
新規事業グロース期に立ちはだかる壁とは
佐古氏:検証期の後のグロース期では本格的なコアメンバー集めが始まります。ここで分岐となるのが、社内に候補者がいるかいないかです。
私が経験したケースの場合、社内に候補者はいたものの、社内公募制度によってメンバーを集めることが決まっていたので、準備から面接、採用に至るまでに半年もかかってしまいました。さらに、候補者は基本的に既存事業で活躍しているため、元の部署が異動させてくれなくて苦労しました。
社内に候補者がいない場合は新たに採用する必要がありますが、日本には、アントレプレナー(事業家)が少ないというデータもあり、採用は困難を極めることが多いです。
その点、事業検証期の「関係人口集め」は仲間集めに繋がることもあるので、ここでも重要な要素だと言えます。
新規事業担当者が採用できないさまざまな理由
西島:ここからは「新規事業人材を獲得するための採用方法とは」というテーマでお話させていただきます。
なぜ新規事業担当者を採用するのが難しいのでしょうか。その理由は以下にあります。
<新規事業担当者の採用が難しい理由>
・新規事業の種類によっては極めて高い能力を求められる
・採用市場自体がレッドオーシャンである
実際に多くの企業が、新規事業の人材不足を理由とした課題を抱えていると回答しています。
西島:新規事業を担う人材として適しているかどうかのポイントは、大きく3つあります。
<新規事業を担うのに適した人材>
・事業の立ち上げ経験がある
・親しい事業で活躍している
・その事業に関連する専門的な知識や技術を持っている
では、なぜこうした人材を採用できないのでしょうか。その理由は2つあります。
<新規事業を担うのに適した人材の採用が難しい理由>
・母数が少ない
・転職市場に出てこない
西島:つまり従来とは異なる、新たな市場へのアプローチを考えていく必要があるのです。
それは、まだ転職活動中ではない、活躍層や検討層にいる人材へのアプローチです。しかし、こうした層への採用サービスはそれほど多くはないため、採用する部門も進化が必要です。
求められる採用部門の進化と必要な2つの力
西島:採用部門の進化とは、従来の「調整役・待ちの採用」から「インハウスリクルーティング・攻めの採用」への転換を指します。
これまでは、現場からの要請に応じた紹介会社への依頼や、現場と候補者の選考調整など、なにかのアクションに対して動く採用の形が多かったと思います。
しかしこれからの採用は、自分から候補者にアプローチする必要があります。まずは経営者と直接会話して今の会社の健康度を把握し、どんな人がほしいのか、採用要件を固めます。その上で、求める人材がどこにいるのかを市場から発見、選定し、アプローチとナーチャリングを繰り返しながら、採用まで結びつけていく。これが採用部門に必要な進化です。
採用力(惹きつけ力)を高める方法
西島:そのために必要なことは候補者の見極めと惹きつけです。弊社では自社の強みを言語化するために、4P分析を行っています。
西島:例えばエンジニア採用の場合、『技術力は手段でしかなく、技術を事業価値に結び付けることを大切にしています』といったようなことを理念として挙げていたり、人材・風土の面では『エンジニア主導の文化』を挙げていたりします。
弊社ではこれを職種別に分析して惹きつけに使っています。
見極める力を高める方法
西島:一方、見極めるためには採用基準の項目をもとに、候補者の適性を図ることを行っています。
ここで大切なのは、経営者や事業部と相談して基準を決め、会社の今の状況を反映した上でPGC(Professional Generated Content)へ回すことです。
西島:一般的には、人事が決めた基準を面接官に渡して採点をお願いすることが多いと思います。
ただ、これだとどうしても今の健康度や事業フェーズに合わない人を採用してしまう可能性が高くなります。そのため、今の会社の状況に合った基準で見極めることが大切です。
採用部門の進化で求める人材を確保できる体制を
西島:現在、新規事業担当者を採用するのは難しい状況にあります。そのため転職市場以外から候補者を見つけてアプローチすることが必要です。
そのためにはまず、欲しい候補者の要件を定義するとともに、どういうメッセージで惹きつけるか、自社の強みを把握して言語化していくことを行っていきましょう。さらに、社内の誰が見極めと惹きつけを行っても標準的にできる仕組みを作ることで、採用に結びつく可能性を上げることができるのです。
転職潜在層の優秀人材に出会える「Eight Career Design」
西島:新規事業担当者を新しい市場で開拓するためのサービスの一つとして、弊社の採用ソリューションサービス「Eight Career Design」をご紹介します。
西島:こちらは約280万人の利用者を有する、日本最大のデータベース名刺管理アプリ「Eight」を活用してダイレクトリクルーティングを行う採用サービスです。業種や会社名、職種や転職意向度の情報でユーザーを検索し、ダイレクトでスカウトを送ることができます。
実際に、保険事業を立ち上げられた鎌倉新書様では、「Eight Career Design」を活用して、事業責任者となるマネージャー候補を1名採用されました。
それまでは大手採用メディアを利用していたそうですが、マネージャー候補となるようなポストを経験した人材にはなかなか巡り会えなかったそうです。しかし「Eight Career Design」ご活用以降は、採用人数が増えるほど採用単価が下がることから、より「攻めの採用」ができるようになったといいます。
新規事業ではどのフェーズでも、人の存在が重要です。優秀な人材を確保できずにお悩みであれば、ぜひ「攻めの採用」に転じてみてはいかがでしょう。これまでとは違う成果が現れるかもしれません。