セミナーレポート
2023年5月19日 開催

8年連続『働きがいのある会社』ベストカンパニートップ10に選出!
組織拡大後もカルチャーを体現し続けるfreeeの採用戦略

採用戦略にはさまざまなものがありますが、社内で働く従業員から「働きがいがある」と声の上がる企業は、外部から見ても魅力的に感じるのではないでしょうか。

今回は8年連続『働きがいのある会社』ベストカンパニートップ10に選出された、freee株式会社の北村 峻氏にご登壇いただき、社内のカルチャー醸成や採用戦略について伺いました。

登壇者紹介

北村 峻(きたむら しゅん)

freee 株式会社 経営基盤本部 採用部部長

前職はオイシックス・ラ・大地にて、新規サービスの業務プロセス設計部門やカスタマーサポート部門の部門長を担当した後、Oisix商品開発本部本部長、HR本部本部長を経験。2021年9月freeeにジョイン。

堀江 隆介 (ほりえ りゅうすけ)

株式会社ROXX back check事業部 営業本部長

大学卒業後、日系コンサルティングファームに勤務。その後、HR系事業会社にて大手企業向けの採用コンサルティングをおこなう。PwC JapanでのHR-Managerの勤務を経て、2018年㈱ハウテレビジョン入社、就活メディア「外資就活ドットコム」の事業責任者などに従事。2021年3月にROXXへ、back check事業のエンタープライズセールス一人目として入社。

佐々木 和哉(ささき かずや)

Eight事業部 Eight Career Design セールス

大学卒業後、求人広告サービスの営業職に従事。その後、SNSなどのWEB広告を活用した採用ブランディングの営業を経て、マネージャーに就任。新卒・中途・バイトなど、採用領域において幅広い分野を経験する。2020年Sansan株式会社に入社。現在はEightを活用したダイレクトリクルーティングサービス『Eight Career Design』のセールスを担当。

freeeのミッションと価値基準

北村氏:弊社は「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションと「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットホーム。」をビジョンに掲げながら開発・提供しています。

従業員数は2022年2月時点で916人となっていますが、2023年6月末には1,200~1,300人の規模を目指しています。

続いてfreeeの価値基準を1枚の画に表してみました。弊社はミッションと価値基準がアイデンティティの両輪だと思っていて、前者は「何をやるか」、後者は「どうやって実行するか」を表しています。

そして「マジ価値」とは、ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることを行う、という意味です。

北村氏:そしてこのマジ価値を、より大きく、より早く届けるために、フリーヤーズ(従業員)全員に必ず持ってもらいたいマインドがあります。それが「マジ価値2原則」です。

<マジ価値2原則>
・社会の進化を担う責任感:社会全体を前に推し進めるべく、社会に信頼される存在であると同時に、本質的であればあえてリスクを取って挑戦していく
・ムーブメント型チーム:ミッションに共感し集まった仲間たちが自律的にアクションを起こす。その熱狂が伝播することで、より良い相乗効果を生み出していく集団

北村氏:さらに、マジ価値を実際に届けるための重要な5つの行動指針があります。

<マジ価値指針>
・理想ドリブン:現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける
・アウトプット→思考:まずアウトプットする。そして考え、行動する
・Hack Everything★:取り組んでいることやリソースの性質を深く理解した上で、枠を超えて発想する
・ジブンゴーストバスター:自分が今向き合いたいジブンゴーストを言語化し、それに対するフィードバックを貪欲に求め、立ち向かっていく
・あえて共有する:オープンにフィードバックしあうことで一緒に成長する

カルチャーを醸成・浸透させるための戦略と施策

北村氏:弊社が思うカルチャーとは、従業員の日々の習慣・行動の先に生まれるものと考えています。カルチャーは言語化したり、共有したり、意見を交わすことを繰り返すことで醸成されていくのではないかという考えから、弊社が取り組んでいる内容を紹介します。

<カルチャー醸成の取り組み>
・価値基準の明確化
・言語化・カルチャー醸成をミッションにした専任部隊の配置
・社内イベント(決起集会や忘年会、週に一度の現況共有)の開催

北村氏:社内イベントの一つに、あえて共有するという行動指針を略した「WEEKRY AEKYOHOUR」があり、毎週開催しています。内容としては、「今このプロダクトでこういうリリース活動やってるよ」とか「新しく入ったメンバーこんな人たちだよ」といった情報を社内で共有するというものです。 

北村氏:私自身も入社して驚きましたが、freeeはカルチャー醸成にものすごい熱量とリソースを注いでいる会社だと思います。

求める人材を獲得するための採用手法

ミッションと価値基準にフィットしているか

北村氏:数多くの採用を行う中で、経験値やビジネススキル、問題解決への思考はもちろん選考基準に入れていますが、それ以上に重要視しているポイントがあります。

<採用で重要視しているポイント>
・ミッションへの共感度
・マジ価値2原則を私達とともに体現してくれるか

北村氏:ここが期待できなければ、たとえビジネススキルがマッチしていたとしても採用には至りません

スクラム採用で円滑な採用プロセスを実現

北村氏:弊社では「採用はfreeeのファンづくり」だという思いで活動しています。具体的な採用活動は、人事が採用リクエスト部門とスクラムを組むスタイルで行っており、それぞれに明確な役割を位置づけています。

<採用リクエスト部門の活動内容>
・ジョブディスクリプションの素案(求める人材要件、働く魅力)作成
・ダイレクトスカウト
・面談・面接の実施・オファーの判断
・候補者とのオファー面談(担ってほしいミッション、ご本人の期待値)

<採用チームの活動内容>
・採用キックオフMtg、JDのアップデート
・母集団形成手法の設計
・流入経路開発
・選考CVRトラッキング、リクエスト部門とのふりかえり
・候補者とのオファー面談(雇用契約、就業条件)

北村氏:ご覧のように、採用活動自体はセントラルの人事担当ではなく採用リクエスト部が行います。オファー面談に関しても、配属予定部門の担当執行役員が直接候補者にアトラクトし、「こんな強みを活かしてほしい」「ここで働くとこんなチャレンジができる」などを伝えます。

このように一緒に働くであろう人と面接段階で接点を持ち、将来上司になるかもしれない人物から率直に期待値を伝えるところが弊社の強みといえます。

採用チームは求人要件の言語化・ブラッシュアップなど選考に関わるメンバーと目線合わせをしながら採用活動をサポートします。

”自社にふさわしい”価値基準の策定・浸透させるポイント

フェーズに合わせて価値基準もアップデートする

北村氏:価値基準を言語化することは創業当初から行っていましたが、会社のフェーズやその時の課題感に応じてバージョンアップを行っています。これと決めたらそこから動かないのではなく、その時に抱えている自社の課題や今後目指す内容に応じて価値基準も変容させていく必要があるのではないかと考えます。

佐々木:Sansanもミッションバリューにこだわりを持っていて、私が入社してから2回ほど変わりました。

浸透にリソースをかける

堀江氏:会社の規模や外部環境によって価値基準も変わっていくと思いますが、それを浸透させるための取り組みを教えてください。

北村氏:先ほど説明した専任部隊のほかに価値基準記念日を年間7日設けています。その中のひとつに、日頃の仲間への感謝の気持ちをメッセージにして2月14日に社内に一斉リリースされる「ありばく(ありがとうを爆発させる日)」という記念日があります。

堀江氏:ピアボーナス制度などを設けている企業様も多いと思いますが、そういった記念日があるとより意識高く業務に取り組めますね

カルチャーフィットする人材の惹きつけ・見極め方

積極的な発信で候補者を惹きつける

北村氏:カルチャーフィットする人材を惹きつけるために、従業員を紹介する広報記事を頻繁にリリースしています。働き方や考え方を積極的に外部にオープンにすることで「自分もやってみたい」と興味をもってもらい、選考へつながるきっかけになると考えています。

佐々木:カルチャーフィットをさせるのではなく、カルチャーフィットする人材が振り向いてくれるために広報や発信を積極的にされているのですね。

堀江氏:そのカルチャーが好きかどうかも候補者の方にとって転職を決める判断材料になると思うので、「うちってこういう人たちがこんな風に働いてる会社です」と発信していくことが大事だと思います。

カルチャーの浸透が良好な関係を構築する

佐々木:続いて、カルチャーフィットする人材の見極め方について面接やそれ以外にも力を入れて取り組んでいることがあれば教えてください。

北村氏:面接評価フォームに、弊社が重要視する2原則に対する体現度を記載する項目があります。その評価方法についてのテンプレートはなく、個々の面接官のやり方に任せている点が弊社の採用方法の特徴といえます

オファーするかしないかは採用リクエスト部門側の面接官と、候補者とフォローアップ面談等をしてきた採用担当メンバーで議論した上で決定するのですが、たとえリクエスト部門側が採用する空気になっていたとしても採用担当者が懸念ポイントを感じれば、率直に採用リクエスト部門側にその意図を伝えます。

堀江氏:率直に言えるような人事と部門の関係性が構築できていて、それを受け入れられる現場側の土壌があるのも、カルチャーが浸透していることに繋がっていますね。

まとめ

カルチャーを浸透させるために、明確な価値基準の言語化と体現を大切にしているfreeeのスタンスが、そのまま会社の魅力や企業力となっていると感じられる講座内容でした。積極的な広報活動や現場が候補者に直接熱量を伝えることができる採用活動、それを人事が並走してサポートするスクラム体制が円滑な採用プロセスに繋がっていることも見て取れます。今回の内容が、皆様の採用戦略の参考になりますと幸いです。

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