セミナーレポート
2023年2月3日 開催

永久ベンチャーDeNAの人材戦略
〜優秀な挑戦者を創出する採用と育成 〜
PRC2023 Vol.5

恐ろしい速さで時代の流れが変わる昨今、会社が存続していくためには優秀な人材を採用することはもちろん、社内で育成することも重要になります。

今回は創業以降、多角的に事業を展開しながら成長し続ける永久ベンチャー、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)の風早亮氏に、社内の取り組みを踏まえた優秀な挑戦者を創出する採用と育成の在り方についてお話しいただきました。

登壇者

株式会社ディー・エヌ・エー グループエグゼクティブ CEO室室長 兼 ヒューマンリソース本部 副本部長

風早 亮 (かざはや・あきら)

2007年に新卒でITベンチャー企業に入社後、翌年にDeNAに中途入社 (第二新卒)。入社後はモバゲーのタイアップ広告の企画営業を担当。その後、 ゲーム事業に領域を移し、 パートナーとのアライアンスを担当。マネジメントも経験し、 2015年に社長賞受賞。2018年にHRへ異動し、 新卒採用部部長に就任。2020年4月より、HR全体を統括する副本部長に就任。2022年4月より同社グループエグゼクティブに就任。23年4月よりCEO室室長を兼任。

成長を促すDeNAの企業文化

風早氏:DeNAは今回のタイトル通り「挑戦し、変化し続ける組織」というのがしっくり来る会社だと思っています。最初にインターネットオークションから始まり、2006年にはモバゲータウンが、その後怪盗ロワイヤルの大ヒットを皮切りに、ソーシャルゲーム事業が海外展開するなど、多角的に事業を展開してまいりました。2011年にはプロ野球に参入するなど、常に変化し続けていることがおわかりいただけると思います。

こうした中で、弊社はエンターテインメントと社会課題の領域の2軸で展開する稀有なポジションを取っていると思います。ただ社会課題を解決するのではなく、エンタメの要素を注入し、Delight(驚きを伴うような喜び)を提供することで世の中に貢献していきたいと思っているのがDeNAです。

DeNAは球体型組織です。入社した瞬間からDeNAという球体の表面積を担う、つまり一人ひとりが弊社を代表する社員なんだという気概と責任感が求められます。

風早氏:会社には職種や性質も含めて、多種多様な約3,000人ほどの社員が在籍しています。こうした中で、弊社では多様な考え方を大事にする「DeNA Quality」という、社内での共通の価値基準を設けています。

<DeNA Quality>
・「こと」に向かう:本質的な価値の提供に集中し、 清々しくチームの一員として取り組みます
・全力コミット:球の表面積を担うプロフェッショナルとして、チームの目標に向けて全力を尽くします
・発言責任、 傾聴責任:立場にかかわらず自分の考えを誠実に直言し、また意見には真摯に耳を傾けます
・多様性を尊重し、活かし合う:仲間の多様な強みや特徴を理解し、互いに活かし合うことで、チームの成果を最大化します
・みちのりを楽しもう:挑戦には成功も失敗もあるけれど、そのプロセスも楽しんでいこう

風早氏:評価や面談で意識して振り返ったり、半期に一度組織が体現できているかサーベイを実施するなど、しっかり社員に理解してもらうことを大切にしています。この指針に共感できるのかというのを大切にしながら、経営陣が最前線で仲間探しの採用活動にコミットしているのもDeNAカルチャーなのかなと思っています。

DeNAの採用 〜 挑戦者を惹きつけ、 未来を創る〜

風早氏:採用において、DeNAでは「挑戦者を惹きつけ、未来を創る」というミッションを設けています。その世界観が伝わるように社内デザイナーに世界観をビジュアライズしてもらいました。

ここでは学生帽をかぶっている方やそうでない方など多様な人が入社し、さまざまな領域で生き生きと活躍してDelightを届けていくんだという世界観を表現しています。

風早氏:この中には入社されない方も描かれています。せっかく出会ったからには採用活動を通して挑戦心を持っていただき、何かしらの形でDelightを届けていく仲間になれたらいいよね、という思いを持ち、候補者に向き合っていくことを大切にしています。

採用ブランディングに関しては経営陣と一体となって策定し、紙に印刷して「誰に何をどうやって」という部分を議論した上でメッセージに落とし込んでいます。

DeNAの育成〜「人は仕事で育つ」という考え方~

風早氏:共有価値観のうち、「DeNA Quality」が社内の約束事であるのに対し、社外に対する約束事として「DeNA Promise」を掲げ、社員育成についても重要な約束事としています。

風早氏:過去のDeNAの事業活動の中でも、お客様に対して価値を提供しようと挑戦した際、課題を生んでしまった事がありました。だからこそ崇高なミッションを掲げた中で、社会に歓迎されるような山の登り方をしたいという思いを込めて「DeNA Promise」を策定しています。

この中で高くコミットしていることの一つが、多様な社員が活躍し、成長する環境づくりです。DeNAでの経験がかけがえのないものになることはもちろん、社内外問わずに活躍し、社会に貢献できるよう、人材の成長にコミットすると いうことをお約束しています。

以下はキャリアデザインマップです。左上のジョインから目標設定、エクスキューズに対して全力コミットしてもらいながらフィードバックのサイクルでしっかり成長してもらうという流れです。

異動に関しては自律的なキャリア形成を作りやすい「シェイクハンズ制度」というものや、社外副業、社内副業の「クロスジョブ」制度も用意しています。

風早氏:「人を育てる」という言葉に対して少しおこがましいニュアンスを感じており、「人は仕事で育つ」という考え方を大切にしています。そのための取り組みを3つご紹介します。

<「人は仕事で育つ」を実現する取り組み>
a.非連続な成長
b.チャレンジの推奨
c.成長を加速させる支援

非連続な成長

風早氏:これは目標設定の際に一番大切にしていることです。

育成の観点では成功率が五分五分の仕事を任せるということ、また大きなプロジェクトの一部ではなく、なるべくその人が最初から最後まで考えてアウトプットできるような、仕事の起承転結を経験できる状況を意識しています。強い思いを持ったメンバーには未経験のセクションを任せるといったこともそうです。

風早氏:DeNAでの働き方のベースとなる考え方で、目標設定においてもストレッチになっているかを確認するのがポイントです。

また組織の挑戦という意味では、大黒柱を引っこ抜くといったことも意識的に行っています。一時的にチームは混乱するのですが、メンバーシップが高まって自然と次のエースが生まれてきます。また引き抜かれる側は、日頃からいつ抜けても大丈夫なように、次のリーダー育成という視点も求められるのがDeNAの特徴です。

風早氏:もう一つ、新卒で入った社員はなるべく2年以上同じ仕事をさせないようにしています。社内のサーベイでは、2年以上同じ業務をしている中で、うまく成果が出ていないメンバーの母集団の7割が退職に至ったという結果も出ています。そのため弊社では新たなチャレンジをさせないことを問題と捉え、積極的に打診することを意識しています。

風早氏:事業が多角化する中で、DeNAカルチャーを楽しむポイントは人による事業シナジーだと思っていますので、新卒ジョブローテーションでそれが実現できればと考えているところです。

チャレンジの推奨

風早氏:自発的なキャリア形成の一つとして「社内ジョブボード」というツールを用意しています。冒険に出よう、というテーマで作られた「Open Quest」という内製開発ツールで、ここに社内で求人募集中のポジションがすべて掲載されています。

気になる求人のハートマークを押せば掲載部門に通知が入り、気軽に話ができたり面談の機会をもらえたりします。そこで事業責任者と意気投合すれば、半年以内に異動できるという仕組みです。これをシェイクハンズ制度と呼んでいます。

また、まずはお試しとして兼業から始められるクロスジョブ制度というものも用意しており、社員が積極的にチャレンジしやすい形を用意しています。

風早氏:引き抜かれる側の組織はたまったもんじゃないですが、組織責任者には良い組織を作っていくという命題を提供している制度でもあります。

成長を加速させる支援

風早氏:前述したとおり、弊社は入社した瞬間から成功率五分五分への挑戦目標を定められています。人は仕事で育つといいましたが、一方で上長との相性やマネジメント次第でうまくいかなくなってしまうこともあるので、新卒社員の入社直後のサポート、特にメンターの存在は非常に重要です。

これは手取り足取り教えるということではなく、経験学習を回しながら目標を立てる習慣付けを行うということです。

風早氏:DeNAで成長するための大事なポイントとして、新卒及びメンターにも同様の説明をしっかり行い、ガイドラインをレクチャーしています。

またマネージャーも重要な要素を占めてくるので、サーベイでの定点観測をすごく大事にしています。マネージャーに対して記名制で行う360度フィードバックや組織情報の可視化のためにeNPS(※)を取ったり、あとはそれぞれ5点満点で部門を可視化できるツールを内製で設け、半年に一度実施したりしています。

※eNPS(Employee Net Promoter Score):職場推奨度

風早氏:結構辛辣な意見もいただくのですが、フィードバックは贈り物というスタンスなどを大切に、組織のために「こと」に向かおうという思いをもって取り組んでいます。

いい方向に向かっていないと思う組織に対してはマネージャーの変更もあります。ただ、役職手当というものはないので、いくらでもチャレンジしてもらうことが可能です。

マネージャーに関していえば、リーダーは孤独になりがちと言われます。そのため定期的に話ができる横のつながりを強化することで、組織開発を支援するコミュニティを形成しています。マネージャーの成長を通して、メンバーが成長しやすい環境づくりを構築しているという狙いもあります。

こうした土台がないと人が勝手に育つのは難しいと思っています。業界の特性もあり、本当に自律的に成長が求められる中で、チャレンジ目標を作るなど裏で社員を支え、ツールでしっかりとサポートすることが必要だと言えるでしょう。

まとめ

多角的な事業を展開するDeNAの活力の源は、人との出会いを大切にし、人を育てることに重きを置く会社の姿勢にあるのかもしれません。
少子化の影響もあって外部から人材を採用することは、今後さらに難しくなるでしょう。今回お話いただいたDeNAの取り組みを、ぜひ新たな時代でも生き残れる組織形成の参考にしていただければ幸いです。

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