セミナーレポート
2023年5月11日 開催

1年半で1人から14人の開発組織へ
即戦力を惹きつけるダイレクトリクルーティングの裏側

ダイレクトリクルーティングに着手する際、母集団形成や惹きつけなど、具体的な施策に悩まれる人事担当者の方も多いのが現状です。

そこで、医療介護業界において1年半でひとりから14人へと開発組織拡大を実現したドクターメイト株式会社の榎本陽祐氏をお迎えし、実践されたダイレクトリクルーティングの施策をご紹介いただきます。

登壇者紹介

榎本 陽祐(えのもと ようすけ)

ドクターメイト株式会社 プロダクト開発グループ グループオーナー

金融・物流業界でシステム開発に携わり、2021年10月医療介護分野で課題に挑戦するドクターメイトにひとり目エンジニアとして入社。ゼロから組織を立ち上げ約1年半で正社員9名・業務委託5名まで規模拡大を実現。

浦山 也実(うらやま なりみ)

LAPRAS株式会社 カスタマーサクセスマネージャー

大卒後保育向け求人サイト、LINEを活用した採用管理ツールのCSMなどに従事。2021年LAPRAS入社し現職。

木村 清二(きむら せいじ)

Sansan株式会社 Eight事業部 Eight Career Designマーケティング

2020年4月Sansan入社。Eight Career Designのインサイドセールスとマーケティングを兼任。

認知の低さを逆手に取ったダイレクトリクルーティング

人事・広報・エンジニアの連携によりダイレクトリクルーティングで8割採用

榎本氏:弊社は持続可能な介護の仕組みを作ることをビジョンとし、主に介護施設のための24時間医療対応支援や、専属の看護師に電話で相談ができる夜間の医療サポート、介護施設職員向け教育支援などを行っております。

現在の採用体制はカジュアル面談から採用に至るまで、人事だけではなくチーム一丸となって進めている状況です。

榎本氏:上記の体制でダイレクトリクルーティングにより弊社に入社していただいた方が8割に上ります。

浦山氏:大企業やメガベンチャーなどに比べると、まだ多くの人に知られていないスタートアップとして、スカウトの返信率を高めるために工夫したことはありますか。

榎本氏:認知がないことを逆手に取り、弊社は真っ白な状態であり、これから自由に未来の事業を描くことができるとお伝えしていました。ゼロから物を作り上げることに魅力を感じるエンジニアの方も多く、惹きつけになったのではないかと感じています。

また介護の問題に興味がある方も多く、弊社が解決しようとしている社会問題についてもスカウトの文言に込めてアプローチしたことで、徐々に認知が広がっていきました。

自社の未来像を整理して採用フローを見直す

榎本氏:採用を本格的に進める前に、弊社のやりたいことや未来像を洗い出して全社で共有することで、採用の精度を高めました。

候補者と会話する上では「どのような形でアトラクトしていくと弊社に興味を持っていただけるか」を意識しながらコミュニケーションしていくことが最も大きなポイントです。

採用フローを可視化してシンプルに改善

榎本氏:また採用フローをできるだけシンプルにすることを心掛けました。

1年間の採用で取り組んできた3つのポイント

① 母集団形成:採用したい人材の定義

1. ターゲットとなるエンジニア像をうまく絞り込む

榎本氏:特に求める人材について、4象限に分解して定義しました。一緒に働きたい仲間が持つ要素や素養を書いた付箋をペタペタ貼りながら、エンジニア同士でこのシートを作っていくことから始めました。すると徐々にペルソナの輪郭がはっきりとしていきます。

2. 期待する人の動きを徹底的に言語化する

榎本氏:次に各ポジションごとに求める人材に期待することをどんどん深掘りしていくと、人事とエンジニア双方で共通認識が醸成され、ダイレクトリクルーティングでの方針や採用広報のコンテンツ内容・文言などの議論に繋がって行きました。

<採用したい人材を定義する順番>
・ジョインして欲しい人
・コンピテンシー(高い成果につながる行動特性)
・質問内容
・ジョブディスクリプション(業務内容や難易度、必要なスキルなど職務の内容を詳しく記述した文書)

浦山氏:人材定義を、現場と人事で共通言語が持てるほど具体的に落としていく際に、工夫された点があれば教えてください。

榎本氏:基本はエンジニアと人事とがしっかりと会話することです。採用は入社がゴールではなく、その方が希望しているキャリアをきちんと歩めているかという観点も重要です。その視点からどういう人と一緒に働きたいかを言語化し、さらにブラッシュアップしながら一緒に作り上げていきました。

3. 定義したペルソナを元に自らピックアップと訴求内容にコミット

榎本氏:人材定義を言語化した後は、ジョインを通じて何を得てもらえるかをイメージしながら、最終的なアウトプットを考えていきます。

下図はLAPRAS SCOUTさんで募集をかけた際の内容です。この候補者の履歴やポートフォリオから親和性を感じ、さらにTwitterからは社会貢献性の高い事業に関心があることが伺えました。

そこで、社会貢献性を重点的にアピールするとリアクションいただけるのではないかという考察のもと、人事が実際にスカウトメールを組み上げてお送りするというプロセスを取りました。

② 惹きつけの強化

1.エンジニアカルチャーの定義とPR

榎本氏:惹きつけを強固にするため行ったことは、自社の価値観の再認識です。特にエンジニアカルチャーを定義するため、経営メンバーも含めてディスカッションを重ね、双方が納得できる落としどころを一緒に作り上げていきました。その際には自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と乖離しない形で、エンジニアカルチャーにも染み込ませています

<カルチャーブック作成のポイント>
・会社のMVVとリンクさせる
・意思決定の際に立ち返れるものを作る
・エンジニア以外も巻き込み、アイデアの発散と集約
・作って終わりではなく、ブラッシュアップし続ける

2. 面談・面接での工夫

榎本氏:カジュアル面談では候補者の方がどのようなことを聞きたいかを重視しました。さらに面接ではいきなり見極めをするのではなく、双方のコミュニケーションを大切にしながら行っていきました。

<選考過程ごとに会話すべき内容を戦略的に変更>
・カジュアル面談:いきなり会社紹介せず、相手が何を聞きたいかを伺う
・面接:コンピテンシーを重点的に確認。双方の目合わせの場であり見極めをしない
・オファー面談:具体的な業務内容をイメージしてもらえる場に

③ 広報・人事との連携

1.広報とタッグを組み情報発信

榎本氏:弊社の事業において、医療介護に関わる社会問題について発信することは重要です。しかしエンジニアがここまで考えるのは非常に難しいため、その役割を広報の方が担い日常的に発信しています。

このスキルをアトラクトに使えるのではという発想から、開発現場で実際に語られている会話や開発の状況について、現場と広報とが連携して発信するようにしました。

結果的にこの記事を見て来てくれた候補者が非常に増え、効果を実感しています。

榎本氏:推進者は採用広報の担当者です。多種多様な職種の方に向けて情報発信しており、その中でエンジニア向けの技術広報的な発信も担っております。

2. 人事と連携しタレントプール運用・候補者体験の担保

榎本氏:エンジニアと人事との連携も大切です。

例えば候補者をピックアップし、将来的にお声がけしたい方には、タイミングが来たら人事からアラートを出してもらうなど、双方での協力体制は非常に効果的だと感じます。

また福利厚生など面談や面接で候補者からは聞きづらい質問に対して、人事が主体的にフォローしています。このようにエンジニアと人事が足並みを揃えて採用活動を行ったことが、大きな成功要因になったのではないかと思います。

1年間でぶつかった壁と乗り越え方

榎本氏:実はエンジニアの仕事をしながら採用活動をすることが非常に辛かった時期もあります。

そこで、全社共有のカレンダーにエンジニア活動期間と採用の期間をあらかじめ書き込んで、経営層にも理解を得られるようにしました。何のために時間を使っているかを常に社内に発信することは大事だと思います。

またスクラム採用にも積極的に取り組み、エンジニアとしての自分の時間を確保していました。エンジニアとしてリソースが足りないことを、人事から経営に投げかけてもらうなどの意思を持った動きは非常に大切です。

まとめ

スタートアップは認知度が低くタレントプールが難しい一方で、経営層なども巻き込んだ全社体制での採用が可能だと考えられます。

ダイレクトリクルーティングやリファラル採用などでは、人事のみならず現場やトップとの共通認識が非常に重要であり、草創期から採用を重要施策として実践し、組織拡大や事業成長へと結び付けていただきたいと思います。

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