セミナーレポート
2022年11月24日 開催

ゆめみの採用ブランディングを大解剖!エンジニアから選ばれる企業の実践とは?

ITエンジニアの人材獲得競争が激化する中で、各企業はまず候補者に自社を認知してもらい、魅力を知ってもらうことが求められています。

今回は、採用ブランディングを強化し、「テックブランド力」トップ10にランクインした株式会社ゆめみの染矢氏をお招きしたセミナーをご紹介します。

登壇者紹介

染矢 幹基(そめや もとき)

株式会社ゆめみ 取締役COO

2015年ゆめみ入社。入社前まで数年間赤字が続いていた京都本社の売上を黒字化、事業拡大を実現。自称「日本初の営業出身のHCD-Net認定人間中心設計スペシャリスト」として顧客のデジタルサービスをいくつもプロデュースした後、現在は採用マーケティング、人事、財務など幅広く担当。プライベートでは3児の父。判断基準は「面白いか、面白くないか」。

久保 圭太 (くぼ けいた)

株式会社PR Table PR室 マネージャー /Evangelist

北海道札幌出身。二児の父。 PRSJ認定PRプランナー。 ネット専業代理店にて広告企画営業、人事戦略、PRの責任者を経て、2018年よりPR Tableに参画。 カンファレンスやオウンドメディア発信などでPublic Relationsの探究活動を行いながら、コンサルタントとして導入企業様向けのコンテンツ企画・活用支援に従事。 その後、CS組織の立ち上げを経て現職。

木村 清二(きむら せいじ)

Sansan株式会社 Eight Career Design マーケティング

2020年4月にSansan株式会社に入社。入社後1年間はEight Career Designのインサイドセールスの立ち上げに従事。その後、インサイドセールスとマーケティングを兼任しつつ、『Eight Career Design』のグロースに携わる。現在はEight Career DesignとともにEightの広告サービスのマーケティング及びインサイドセールス部門リーダーとして事業を推進している。

ゆめみが実践する採用ブランディングを大解剖

ゆめみの組織としては、現在300名ぐらいの規模感で運営しており、顧客のデジタルサービスをトータルでプロデュースできるよう「アジャイル組織」で進めています。

異動も含めて、本人の判断によってチーム編成がおこなわれる点が一番大きな特徴です。全て自己判断で所属するチームを選びます。

また、「全員CEO制度」というものがあり、代表取締役の権限を全メンバーに与えています。そして、権限を与えた上で、「プロリク・レビュー」という制度によって、承認というプロセスではなく、助言というプロセスを全面的に採用しております。

2019年から採用ブランディングに注力し始めた

染矢氏:採用ブランディングに注力する前の2017年はどん底の状態でした。当時のマネジメントメンバーの相次いだ離職で、離職率は24%にまでなっていました。

しかし、そこから2019年に「採用ドリブン経営」を掲げ、「日本のIT業界で一番採用に力を入れてる経営者になる」と代表が宣言し、2022年3月31日までにIT企業の中で成長できる会社として想起される5社の中に入ることを目標に動き始めました。

まず始めにおこなったことは、メンバーに対して最優先業務を定義し、その最優先業務に「採用」と「育成」を明確に当てたことです。たとえば、自分の稼働を100%とした場合に、「まずは採用業務に20%、残りの80%で顧客向けに開発をしていく」といった業務ロジックを設計し、全員で採用活動をおこなう状態を作りました。

テックブランド構築に向けて3つの取り組みを実施

染矢氏:実施した施策は主に三つあります。

一つ目は採用ブランディングに注力するための組織の変更、二つ目は社員全員が採用活動している状態を作るために様々な取り組みの実施、最後に採用プロセスにおける取り組みの実施をおこないました。

① 採用ブランディングに注力するための組織の変更

まず、取り組みの中で最も大事にしていたことは「一石二鳥戦略」です。

弊社のようなBtoB事業は「CVP(顧客に提供する価値)」が重要ですが、一方で採用強化には「EVP(社員に提供する価値)」が重要となります。会社規模がそこまで大きくない中では、双方を注力することはそれぞれに時間とコストをかける必要があり、難しいでしょう。

そのようなときに、両方に価値提供されるものとして「組織のあり方」に目を付け、組織の規模が大きくなってもアジリティを失わない組織設計に変えていきました。

アジャイル組織は部署のしがらみが無いため、お客さんにとって欲しい機能や体制を提供できることが強みだと考えています。また、社員としては自分に合ったチームやプロジェクトを選べる組織となるので、メンバーの成長を促したり、やりがいを創出したり、外的要因による不満をなくしたりすることができます。

② 社員全員が採用活動している状態を作るために様々な取り組みの実施

成果物には作り手の想いが出ると考えているため、いかに社員がそのものに意義を見出しながら顧客に価値を提供できる環境を作ることができるかは重要となります。

そのため、社内の継続的な取り組みが外部にもにじみ出るような形で伝わっていきながら、ゆめみのブランドがより強固になっていくように、全社員にアウトプット機会を作ることを推奨しています。

ゆめみでは、Slackというチャットツールで社内発信をおこなってもらうために、OJTチャンネルと言って自分の思ったことを呟ける場所を作っています。

実施した目的は、投稿した内容へのメンバーからのリアクションを受けて、より自己開示しようと感じてもらえるスパイラルを作り出すこと、また、この積み重ねが外部発信への不安を軽減する心理状態を作っていくことでした。

これを達成することで、社員が自ら発信し、社外のエンジニアに共感してもらえたり、繋がりを感じてもらえる機会が増えると考えています。

③ 採用プロセスにおける取り組みの実施

ここまでお話を続けてきましたが、最終的に候補者に魅力を感じてもらえるポイントは「人」だと感じています。

ゆめみの採用活動では、一次面接で見極めをおこなわずに「アトラクト(魅力づけ)の場であること」「コーディング試験での丁寧なレビューをすること」を大事にしています。

アトラクトについては、「メンバー自身が、ゆめみでの日々感じるありのままを伝えてもらうこと」と定義してます。応募者は、とてもリアルに働くイメージが湧くことに繋がるため、お互いを知る場としてありのままを伝える事を重視をしています。

コーディング試験での丁寧なレビューについては、「基準が具体的で参考になった」「非常に丁寧であり、今後エンジニアとしてどうしていくかといった所で参考になった」といった意見をもらったり、残念ながらご縁がなかった方も「いつかまた受けたいです」とおしゃっていただけたりすることもありました。

採用ブランディングを設計する前に採用マーケティングを実践

染矢氏:ゆめみでは、ブランディング設計に取り組み始める際、司令塔とメンバー間に熱量の差が生まれていました。具体的には、司令塔の提案や依頼に対してメンバーが目的や意図を読み取れずに、ただ言われた事をこなす受動的な状態ができてしまっていました。

そこでおこなったことが、採用マーケティングによる全体設計です。

「ゆめみの認知をどう上げていくか」という課題に対して、届けるユーザーを中心にしたコンテンツを作成し、SNSやメディアでいかに取り上げていただいて拡散してもらえるかを重視しました。このサイクルを「マーケティング・パブリック・リレーションズ」として置き換えています。

志望度のベースを上げるために、ユーザーに必要な情報を作らなければならない。このような採用マーケティング全体のプロセスを可視化していく中で、大きく3つのセクション、4つのフェーズに分けました。

1.知ってもらいたい人にいかに情報を届けるか
2.来てもらいたい人にどうやって行動を起こしてもらうか
3.来てもらいたい人をどうやって迎えるか
4.入社後に感じたことや体験しているものをどのように次の世代に伝えていくか

この4つのフェーズにおいてそれぞれの認知獲得方法を整理しました。

そして、「通りかかった方々が、徐々にフォロワーになり、タレントやファンになり、候補者になり、実際にメンバーになり、そして推奨者になっていく」といったユーザーストーリーの可視化をしていきました。

採用マーケティングについて考える上で最も重要なことは、「ターゲットの志向性」と「自社の強みの整理」だと思います。そのため、コンテンツを作成する際は、「ゆめみに入社された方の志向性」と「ゆめみの強み」を掛け算で組み合わせています。

たとえば、「知識を教えてもらえるような環境で働きたい」「誰と働くかを重視している」といった志向性を持つ方々に向けたコンテンツを作る場合は、勉強し放題制度を訴求していったり、メンバーの価値観にフォーカスしてtalentbookさんを活用させてもらったり、といったように企画しています。

コンテンツ作成においては、まずはどの志向性を持った属性に訴求するかを決め、そこで何がゆめみの強みとして活かせそうかの掛け算で企画を作り、そして集客チャネルの設定をします。そして単純に作るだけでなく、SNSの拡散やメディアへのコンタクトを使いながら、最後に簡単な振り返りをして発信のサイクルを回していきました。

コンテンツづくりで意識しているのポイントは2つ

コンテンツづくりで意識しているポイントは2つあります。

まず1つ目は、「どのような顧客感情を生むか」を逆算していくマーケティングです。ユーザーの志向性が何かという問いを立てることができるようになると思っています。

次に、「知る・こめる・届ける」というサイクルです。採用プロセス全体を通してユーザーの志向性に常にアンテナを張り、そして、自分たちの強みを継続的に理解・把握することが必要だと考えています。

どのように「知る」という部分を可視化し一覧化していくことができるか。どのように可視化されたものをコンテンツに落とし込んで(=こめて)いくか。そして届けられたユーザーがどのような顧客感情になるか。これらのサイクルを回していくことが大事だと思っています。

「まずはやってみる」という意識を大切に

木村:「ユーザーの志向性」と「自社の強み」の組み合わせは数多くあると思いますが、これらを決め切ることは困難ではないかと感じます。ゆめみさんが意識していることはありますか?

染矢氏:「まずはやってみる」という意識を大切にしているので、多くは勢いで決めています。そして、施策を実践した後の振り返りで、上手くいかなかったものに対しての原因と課題を受け入れ、次のクォーターに反映させることを意識しています。

振り返りを実施することで施策の偏りなどにも気付かされるので、重要なフローだと感じています。

久保氏:クォーター単位で振り返ってるのですか?

染矢氏:そうですね。大きな目標は半期で立て、細かな動きはクォーター単位で設定しています。

久保氏:ゆめみさんが成功している理由は、社内や社内の家族に向けて安心を与えるようなスタンダードな施策を打ちつつ、ゆめみの挑戦状や漫画などの飛び道具的な企画もあるなど、この掛け合わせを上手くやられていることなのではないかと思います。

どちらか一方だけでも届きにくいですし、突飛なことだけやっても、不安に感じられてしまう可能性があります。このスタンダードな施策と少し特徴のある施策を組み合わせていくことで、非常に良いバランスでやられてるのかなと感じました。

まとめ

候補者に自社の魅力を知ってもらい、志望度を上げるためには、まず組織体制から見直し、候補者目線で採用プロセスまで変えていく必要があることが分かりました。

「まずはやってみる」という意識を大切に、施策の実行と振り返りを行って少しずつ改善していくことが重要です。
競争が激しいITエンジニアを採用していくために、今回のセミナーをご参考にしていただければと思います。

HR NOTEの記事を参照

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