社内で運用に乗らないのはなぜ? リファラル採用を増やす組織作りと制度設計とは 〜 前編 〜
セミナーレポート
2020年12月3日 開催

社内で運用に乗らないのはなぜ? リファラル採用を増やす組織作りと制度設計とは 〜 前編 〜

リファラル採用を成功させるためには、始める時期と組織作りが大きなカギを握ります。

今回は株式会社ROXXの山田 浩輝氏、株式会社リチカの山田 健太氏、そして弊社橋本の3名による、リファラル採用を増やす組織作りをテーマにパネルディスカッションを行いました。

その内容をダイジェストで、前後編に分けてお届けします。前半は各社のリファラル採用の目的や位置付け、またリファラル採用がうまくいくかを見極めるためのポイントなどについてご紹介します。

登壇者

山田 浩輝(やまだ・ひろき)

株式会社ROXX/ COO

青山学院大学在学中にROXX(当時はRENO)を起業。agent bank/ back check両事業の事業責任者を経て、今は何でも屋さん。採用にもコミットしている。

山田 健太(やまだ・けんた)

株式会社リチカ VP of Corporate

大手食品メーカーにて人事経験後、株式会社リチカに参画。労務から財務まで広い知見を持ち、就任後はコーポレート業務全般を管掌。累計4億円以上(借入含む)の資金調達を牽引。

橋本剛(はしもと・ごう)

Sansan株式会社Eight事業部
Eight Career部マネージャー

新卒でカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社し、Tポイント提携営業やデータベースマーケティング事業に従事。2019年にSansanに入社。『Eight Career Design』立ち上げ期にセールス面を中心に携わる

各社のリファラル採用の目的・位置付け

実は3社すべてが、現在積極的にリファラル採用を行っているわけではありません。まずは、リファラル採用に対するそれぞれの現状と目的が語られました。

橋本:Sansanでは「マイ脈」という名前をつけて、5〜6年以上前から積極的に行っています。弊社はミッションやバリューを大事にしているのですが、過去にはそれに共感できず活躍できなかった人もいました。そのため採用のマッチング精度を上げるために行っています。

位置づけとしては、「このタイミングでリファラル採用やりましょう」というよりも、それが当たり前になっている状況です。弊社では職種に関わらず、入社研修で必ずリファラル採用について認知してもらっています。また隔週で行う全社朝礼などでも定期的にアナウンスしているので、知らない社員はいないというくらい、文化としてリファラル採用が浸透しています。

社員にも、ミッションやバリューは見ないでも言えるくらいに浸透しているので、紹介してくれる人たちも、自然とカルチャーがフィットしやすいですね。

また弊社では、転職市場に入る前の潜在層へのアプローチも大事にしているので、まさにそういった意味からも積極的に活用しています。

山田:ROXX社では、今はあえてリファラル採用に注力していません。リファラル採用は今後、マネージャークラスやオペレーションが重視される人たちをたくさん採るという点で重要にはなってくると思ってます。ただ、今はそれができないので注力していないという状況です。

山田(健):では昔からリファラル採用を行っていますが、それだけに注力しているわけではなく、あくまで採用の手段のひとつとして自然に取り入れています。

リファラル採用がうまくいくかを見極めるための3つのポイント

現在、あえてリファラル採用を行っていないという山田氏。その理由は「今はうまくいく素地が整っていないから」だといいます。

リファラル採用がうまくいく会社とうまくいかない会社の違いは?

山田:うまくいきやすい素地を見極める要素は「ターゲット」「社内の人材」「組織状態」3つです。

一番重要なのは「ターゲット」です。自分たちが採用したいターゲットを連れてこられる人材が今の社内にいるのか、そこにツテがある人が社内にいるのかを見極める必要があります。基本的に、自分よりも優秀な人を紹介することは難しいものです。社内の社員以上に優秀な人材を採用したいのであれば、まずはどんなに高いお金払ってでもそのような優秀な人を連れて来れる人を外から採用した方がいいと思います。

また「社内の人材」も重要な要素です。例えば男性しかいない会社でオペレーションを回せる女性を探すのは、かなり難しいです。逆に女性が多数活躍されている会社だったら、「うち働きやすいからおいでよ」と言いやすいですよね。

同様に、エンジニアしかいないのにビジネスサイドの人材は連れて来れないですし、若い人しかいないのに役員やマネージャー層をリファラルで採用するのは難しい。そうした意味で、ターゲットと社内の人材の関係性はかなり重要だといえます。

もう一つは組織状態です。社員が「うちの会社を紹介したい」と思える組織状態になっているのか、また「採用って人事がするものでしょ」というマインドになっていないかどうかも、定期的に確認していく必要があります。

採用の自分ごと化が重要に

橋本もまた、「採用=人事が行うもの」という認識をもつ組織は、リファラル採用の効果が出にくいといいます。

橋本:リファラル採用がうまく行かない組織の特徴として、社員の中で「採用が自分ごと化」されていないことが挙げられます。

いくら制度を作って報奨金を用意したとしても、そういう素地がないと現場からの協力は得られません。社員にとっても、相手の仕事ぶりまでは分かりませんし、知人を紹介するのはハードルが高いものです。その中で報奨金があったとしても、率先して紹介する社員はそれほどいないというのが現状のようです。

株式会社リチカの山田氏は、自分ごと化(透明性)を高めるためにレギュレーションを整えることに注力しているといいます。

山田(健):言葉の意味一つ取っても、人によって受け取り方が違うんだというのを、最近すごく反省しているので、その辺りのレギュレーション整えていくようにしています。

例えば「良いクリエイティブ」とはどんなものかを考える場合、社員それぞれが思ってるものが違うというのはよくあることです。こうしたものの定義をしっかり行っていくことが重要なのだと思います。

リファラル採用は制度設計より文化作りが大切

こうした中で、3社は共通して「制度設計はそんなに重要ではない」といいます。

山田:組織が小さい段階からリファラル採用を習慣化できるかどうか、つまり「文化」を作れるかどうかが非常に重要です。

橋本:会社組織が大きくなり、人事が採用した人がやってくるという環境だと、社員としてはそこに協力する価値や、採用がいかに難しいことかというのが、意外と分かってないケースが多いのかなと思いますね。

では、会社としてリファラル採用を文化にしていくためには、具体的にどのようなことを行えばよいのでしょうか。リチカの山田氏は、ご自身の経験を交えながら2つの観点で文化の醸成についてお話くださいました。

山田(健):私もいわゆるリファラル採用で今の会社に入社しました。その観点でいうと、採用というよりは、仕事をするにあたって一緒に「どうやったらうまくいくか」を考えていたら、パートナー契約など自然に関係性がスタートしていたということがあります。

私の場合、代表が大学の同級生だったんですが、入社の1年くらい前から会社に行ったり、メンバーで遊びに行ったりしていました。そこでたわいもない話というか相談に乗るようになり、そのうちに合宿に誘われるようになるなど、徐々に巻き込まれていき入社に至りました。

また組織の観点からお話すると、弊社は会社の課題感が社員に浸透しやすい環境なのかなと思っています。

弊社は会社が10名規模のころから、会社の状況や各部署の1ヶ月間の目標の達成度、課題感や役員がなぜうまくいかなかったと思っているかなどを全社員にオープンにしています。ですので、「こんな人がうちの会社にいてくれたらいいな」という感覚は、おそらく役員層とメンバー間であまり変わらないと思います。

また弊社には採用チーム自体がありませんでした。そのため各メンバーが、人材確保を自分たちの仕事として当たり前に捉えている側面もあり、全員がリファラル採用に取り組んでいるのだと思います。

橋本:私の場合だと、採用に関するサービスに携わっていますし、研修で採用がかなり大事だと言われていました。

山田:リファラル採用が文化になって、会社にちゃんと定着したんですね。

小さい組織ほど文化としてリファラル採用が定着しやすい

ROXXの山田氏は「文化にするのはすごく難しい」と前置きしながら、定着しやすい組織規模について言及しました。

山田:人数で言うと会社の最初の10人くらい。リファラル採用が当たり前だと思っている人たちが集まってきて、さらにそれで本当に人が採れた時が文化になりやすいと思います。

橋本:確かに事業規模が小さいとか、成長フェーズの場合、また1チーム単位で始めた場合にうまくいくという話を聞きます。

山田:ですからスタートアップの企業の場合はリファラル採用の習慣をつけておくといいですね。

大規模企業は「小さく始める」ことが大切

一方で、すでに成長フェーズを超えた企業の場合は、リファラル採用成功の素地を築くのは難しいのでしょうか。ROXXの山田氏は「習慣化しなかった企業がリファラル採用をするのはかなり大変」だと言及した上で、効果を出すための始め方についてこう語ります。

山田:まずは小さい組織、小さい単位でやるしかないです。最初から全社単位で導入しようとすると失敗しますし、制度設計したとしてもそれは変わりません。

大きな組織の場合は、最もリファラル採用がうまくいきやすい組織がどこかを考え、そこから文化を少しずつ広げていきましょう。大変なことをやるんだということを認識いただいた上で、小さく習慣を作っていくことから始めることが大切です。

また山田氏からは、どの組織から始めるかについても話がありました。

山田:先程申し上げた「ターゲット」「社内の人材」「組織状態」という3つのポイントが一番噛み合っている組織に協力を仰ぎ、成功事例を作っていくべきだと思います。そのために、例えば声をかけやすくするための会食代など必要な支援はしっかり行ってほしいと思います。

リファラル採用を成功させるためのポイントについてご紹介した前編に続き、後編では優秀な人材を連れてくる人の特徴や成功のための取り組み、最低限行うべき制度設計についてご紹介します。

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