転職潜在層にアプローチできるとして注目されているダイレクトリクルーティング。しかし媒体数が増えており、何を選べばいいのかわからないという声も聞かれます。
今回は50社以上の採用支援を行ってきた株式会社プロ人事の三宅 雄太氏から、自社にマッチするダイレクト採用媒体の選定方法やポイントについてお話しいただきました。その内容をダイジェストでご紹介します。
登壇者
三宅 雄太(みやけ・ゆうた)
株式会社プロ人事 代表取締役
株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)にてキャリアコンサルタントとして転職支援を実施、IT領域に強み。令和元年に㈱プロ人事を創業、採用コンサルタントとして各業界の採用支援を行う。これまでの支援企業は創業3年で250社以上。
自社に合ったダイレクトリクルーティング媒体の選び方
三宅氏:採用媒体にはそれぞれ新卒向きか中途向きか、両方に強いかといった特徴があります。まずはこうした点で媒体を比較することが大前提となります。
さらにそれぞれの媒体の強みと、自社が採用したい方向性をマッチさせていくことが今回お伝えしたい重要なメッセージです。
三宅氏:さらに、従来とは異なる採用市場として「潜在的転職者層」があります。「転職したい人」と「転職したい人を採用したい人」とのバランスが崩れ、人材を奪い合っている現在の転職市場において、今後は「転職したいと考えていない層にもアプローチしていくこと」が大きなアドバンテージとなっていきます。
こうして転職顕在層が利用している媒体も利用しながら、潜在層がアプローチしている媒体も活用し、いろいろな戦略を立案していくことが、採用を成功させるためのポイントであり、こうした観点で媒体を選定していく必要があります。
三宅氏:以下の図を御覧ください。AからDはそれぞれ転職媒体を表しています。
AとDは顕在層が多く、かつメンバー募集寄りの媒体ですから、候補者層が重複する可能性があります。そのためAとCのような、異なる観点から媒体を比較していく事が必要です。
三宅氏:また媒体を選ぶ一歩手前として、「どことどこを選ぶのか」も気をつけていくべきです。
それぞれの特徴を比較しながら、利用企業数も比較していきましょう。会員数だけでなく、奪い合っているライバルがどういう層なのか、また自社が求めている層はどこなのかを比較検討し、媒体の選定を進めていくことが大切です。
三宅氏:ただ、ダイレクトリクルーティングの場合、自社にあっているサービスがわかりにくいかもしれません。今回はシンプルに以下2つのポイントを挙げました。
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<自社に合ったダイレクトリクルーティング媒体を選ぶポイント>
1. 自社ゾーンとマッチしている媒体か
2. 料金体系がどうか
「求める職種やスキルが明確なら、そこに特化した媒体一つでいいのでは」と思われるかもしれません。しかし、採用の難易度が高い職種の場合、媒体を一つに絞るのはリスクがあります。
例えばエンジニアの場合、職種別の求人倍率は10倍近くに膨れ上がっています。特化した媒体を使えば多くの候補者には出会えるものの、同じくエンジニアを求める企業が多数いらっしゃるため、人材の奪い合いになってしまいます。
そのため特化した媒体一つで運用するのではなく、複数の媒体を組み合わせて採用ポートフォリオを組んでいくのが、ダイレクトリクルーティングで成功している会社の考え方です。
三宅氏:どの媒体を使うかも大事ですが、各サイトにはサービス(スカウトの数)ごとにさまざまなプランがあります。その割り振りも重要になります。
新規媒体を検討する場合は、リスクを減らすために少なめの数からスタートしていき、PDCAを回しながらKPIを獲得し、今後の採用設計をしていくのが理想です。早急な採用を求められることもありますが、自社の数字と媒体との相性を見定めながら採用戦略と媒体、プランの選定を行うことが必要です。
また、同じような媒体を避けることも重要です。
例えばハイクラスだけにアプローチするのではなく、顕在層と潜在層それぞれが使っている媒体を使い分けて複数選定していく。プランと内容を、自社の採用ニーズと比べたうえで選定していきましょう。
ダイレクトリクルーティング媒体の運用のポイント
三宅氏:ここからは、ダイレクトリクルーティング媒体を運用する上でのポイントについてお伝えします。
<ダイレクトリクルーティング媒体の運用ポイント>
1. スカウトメールの送信数を増やす
2. スカウトメールの内容
3. 送信まで必ず行う
4. PDCAを適切にまわす
1. スカウトメールの送信数を増やす
三宅氏:まずはしっかり数を送っていくことが大切です。一通一通厳選するよりも、KPIを意識しながらしっかりと数を送るという観点で取り組みましょう。
返信数については、媒体を問わず10%行くかどうかというのが一般的です。ほとんどが10%を超えることはないので、そこをKPIにすると失敗します。
2. スカウトメールの内容
三宅氏:媒体の特徴にもよりますが、新卒のダイレクトリクルーティングメールの場合、内容をコピーアンドペーストするのは避けたほうが安心です。一方、中途の場合はある程度入れても問題ないこともあります。
いずれにしてもスカウト文をブラッシュアップしていくことが大切です。
内容のABテストをするという意味でも、メールの数をしっかり送っていくことが大切です。
3. 送信まで必ず行う
三宅氏:媒体の多くは月初を送信メールの有効期限としているところが多いです。毎月しっかりスカウトメールを送りきりましょう。
4. PDCAを適切に回す
三宅氏:スカウトメールの返信率をみてKPIを設定します。媒体によってはPDCAを回す部分をサポートしてくれるところもあります。こうしたサービス内容も踏まえて媒体を考えていくことが大切です。
ダイレクトリクルーティング媒体選定における成功事例
三宅氏:今回お伝えした視点でダイレクトリクルーティング媒体を選定した企業様の成功事例をお伝えします。
1社目はスカウト通数400通で2名採用できた企業様の事例です。
この企業様は社員数10名程度で知名度はない状況で、難易度が高いエンジニアの採用を行っていました。媒体数はビズリーチやEight Career Design、YOUTRUSTなどかなり多めに使われました。
この事例の特徴はPDCAをしっかり適切に回したという点です。スカウト文面の改善を何度も行い、募集要項とつながるように強く意識しました。ここでの反応率が大きかったです。
また、社長がカジュアル面談の段階から出てきて口説いていらっしゃいました。その場を作るためにしっかりとスカウト文面を改善するとともに、送信数を担保し、反応が来た方を口説いていくといったことが採用につながっていったと感じています。
三宅氏:次の事例は100名規模のIT系サービスの企業様で、CXO(役員クラス)を採用したいとお考えでした。
役員クラスを採用する場合、マッチする媒体はビズリーチなので、それだけでアプローチしがちです。しかしビズリーチに登録している人は転職顕在層がいる媒体です。そのためこの企業様は、ビズリーチに登録してない全く異なるターゲットを獲得するために、あわせてEight Career Designも利用されました。
Eightは転職を考えていない層にもヘッドハンティングのようにアプローチできる媒体です。二つの異なるプールを使うことによって、採用を成功させました。
こちらの事例のように、一つの考え方で動くのではなく、異なる考え方をもって媒体を選定することが重要です。これはリスクヘッジにもなります。
ダイレクトリクルーティングは媒体選びが成功の鍵
特に採用難易度の高い職種やスキルをもつ人材を迎えたい場合は、ひとつの媒体に絞るのではなく複数で運用すること、また自社の方向性にあった強みを持つ媒体を選ぶことなどが示されました。
同時に、PDCAを回すことやスカウトメールをしっかり送り続けることの重要性を改めて感じた方も多かったのではないでしょうか。
今回の事例にもあったとおり、Eight Career Designは転職潜在層にアプローチできる媒体のひとつです。皆様の採用の方向性なども踏まえた上でお力になれることがございましたら、ぜひ一度ご利用ください。