セミナーレポート
2022年5月19日 開催

ゼロから学ぶ採用のブランディング ~認知を拡大し母集団形成を実現する4STEPとは~

企業側でもダイレクトリクルーティングによる採用が主流となり、自社の魅力や強みを発信する採用広報による母集団形成の重要性がさらに増しています。

そこでHeaR株式会社の採用コンサルタント田島 彩名氏をお迎えし、変化する時代に対応した採用ブランディングについて解説いただいたセミナーをご紹介します。

登壇者紹介

HeaR株式会社 採用コンサルタント

田島 彩名(たじま あやな)

HeaR株式会社 採用コンサルタント。2017年現VERTEX Technologiesに入社し、カスタマーサクセス、採用広報担当者を務め、2020年HeaR株式会社に入社。現在は採用広報戦略設計並びにコンテンツ制作・監修を担当している。

Sansan株式会社

橋本剛(はしもと ごう)

2019年にSansan株式会社入社。「Eight career Design」立ち上げ期にセールス面を中心に携わり、現在はマーケティング部門の責任者として事業を推進している。

採用広報の役割

田島氏:採用広報には候補者のフェーズに合わせたコンテンツにより、面談から入社までの、企業と候補者との関係性をボトムアップしていく重要な役割があります。

始めの段階では候補者の意欲を上げること、応募後は不安を取り除くことに注力すると、採用広報のポテンシャルを最大化することができます。

採用広報の4STEP

田島氏:採用広報にはコンセプト設計から広報コンテンツの作成に着手するまでに4つのステップがあると考えられます。

《採用広報のステップ》

  1. 体制構築
  2. 自社の魅力と差別化要素の策定
  3. コンセプトの策定
  4. 採用広報コンテンツの企画・制作

田島氏:体制構築では採用広報のメンバー選定が重要な鍵です。特に大きな組織の場合、専任者や先導していく人の存在が必要です。またターゲットやポジショニングマップの策定、PoD(※)を設定しましょう。

※PoD=Point of Deference 他社にはない差別化された自社の価値・強み

田島氏:この4つのステップにどれだけ綿密に取り組めるかが、採用広報コンテンツ作成に大きく影響を与えるため、しっかりと確立していただきたいと思います。

STEP1:体制構築

田島氏:中長期的な競争力を構築するため、採用広報で重要なメディア運用には必要な人材を社内外から選定し推進体制を作ることが非常に大事です。以下4つの体制づくりは、採用広報において必ずすべきと考えてください。

《理想の推進体制》

  1. 『考える』 採用戦略の立案や進行管理者、ディレクター
  2. 『つくる』 コンテンツ制作、メディア制作
  3. 『届ける』 マーケターや広報などの協力を得る
  4. 『育てる』 記事を見た人のナーチャリングやウェビナーの企画、ミートアップ運用

採用広報を推進するための準備

田島氏:体制構築の次には、採用広報を推進するための準備が必要です。

《採用広報を推進するための準備》

  1. オウンドメディアの運用チームを構成する
  2. 必要な予算の確保をする
  3. メディアの目的とゴールを認識合わせする
  4. 運用ルールとオペレーションをしっかり定めておく
  5. 拡散経路も並行して用意する

田島氏:採用メディアで自社のファンを増やしたいのか、採用人数を上げたいのかなどの認識合わせや、更新頻度、誰がチェックするかなどを決めておくと、後々の工程が非常に楽になります。

最終的には誰に読んでもらいたいか、どのような届き方をするか拡散経路まで考えることが採用広報の仕事になります。

発信媒体の設計

田島氏:発信媒体の設計も非常に重要です。自社の記事をどこで出して誰に読んでもらいたいかを大事に考えていただきたいと思います。

例えば転職顕在層か潜在層向けなのか、費用が高いか低いかなどが選定のポイントになります。即戦力を求めている場合は潜在層向けであればnote proなど、届けたい人に向けてメディアの世界観を作り上げていくと効果的です。

STEP2:自社の魅力と差別化要素の策定

田島氏:自社の魅力と差別化要素の策定は非常に大切なポイントです。初めに候補者のペルソナを策定し、届けたい人が現在選考のどのフェーズにいるのかを考えます。

コンテンツ戦略は4P×3フェーズで考える

田島氏:自社の魅力については「Philosophy(企業)」「People(人)」「Profession(事業)」「Privilege(待遇)」の4P で考えると良いでしょう。これは株式会社リンクアンドモチベーションが考案された会社の魅力を考察する4つの側面です。

加えて候補者の状態を「無関心」「認知・応募」「選考・入社」の3つのフェーズに分けます。無関心の人と選考中の人が関心を持つ企業理念・哲学はかなり異なるため、候補者に合わせたコンテンツ戦略が必要になります。

自社の魅力を「4P」で分類

田島氏:上記の4Pについて、さらに深掘りすると方向性を定めやすくなります。

《自社の魅力を「4P」で詳細に分類》

・Philosophy「企業理念」:ミッション、ビジョン、創業経緯、社名の由来、沿革
・People「人・文化」:経営陣・メンバー紹介、企業文化/バリュー、組織図
・Profession「事業・業務内容」:事業内容/ビジネスモデル、競合優位性、今後の戦略
・Privilege「働き方・待遇」:働く環境/働き方、福利厚生、オンボーデイング内容、給与テーブル/評価制度

田島氏:この分類により自社の強みがクリアになり、採用広報でもより先鋭化した施策を打ち出すことができます。

PoDの設計

田島氏:PoDをしっかりと設定し、他社との違いや自社の強みを明確にしましょう。

田島氏:弊社を例にしてみます。

弊社では候補者、競合、自社のそれぞれが求めているものを整理し、他社にはない自社の強みが何なのかを策定しています。

この作業を行う際に、先ほどの4Pから導き出すと非常に分かりやすいです。

《4Pを整理した上で考えるHeaRのPoD》

・Philosophy:「青春の大人を増やす」「採用のミスマッチをなくす」
・People:発展途上だが文化を浸透・進化させようとする企業文化。エモ×ロジカルのバランスが取れた組織
・Profession:1人目エンジニアとして、オーナーシップを持ちながらプロダクトサイドとして事業開発にも携わることができる
・Privilege:技術スタックが決まっていないので自由度高くできる

田島氏:4Pを整理した上でPoDを設定しコンテンツを作ると、持続可能な採用広報戦略を策定することが可能になります。

田島氏:PoDについては直近で入社された方へのヒアリングを行うと良いと思います。いくつかある内定の中から自社を選んだ方達なので、どこに魅力や強みを感じたのかと言う生の声を聞かせていただけることが多いです。

STEP3:メディアコンセプトの策定

メディアコンセプトの構成要素

田島氏:次はどのような発信をしていくかが重要です。設定したペルソナが何を求めているのかを考慮し、自社が届けられるものは何かを考えていきましょう。

《メディアコンセプトの構成要素》

・候補者のニーズ:候補者が抱えているキャリア課題や業界情報・企業文化など
・自社の強み:企業理念や社内文化の魅力、他社との差別化要素など

メディアコンセプトの設計

田島氏:コンテンツはシンプルでオリジナリティがあり、新規性や普遍的でシンパシーを感じる内容であることが大切なポイントです。以下の5つをしっかりと捉えてコンテンツ設計をしてください。

《メディアコンセプトの設計》

  1. 明確性:分かりやすいか?
  2. 差別性:他との違いは?
  3. 新規性:新しさがあるか?
  4. 普遍性:陳腐化しないか?
  5. 共感性:共感できるか?

田島氏:特に「分かりやすいタイトル」は非常に重要です。「分かりやすく」「覚えやすく」会社の名前と紐づけしやすいメディアコンセプトが見えてくるような作り方をおすすめします。

STEP4:採用広報コンテンツの企画・製作

コンテンツの種類

田島氏:ペルソナ設定もしてメディアもすでに持っているが、何を書いたらいいかが分からないという担当者の方も多いかと思われますので、コンテンツについてここから詳しくお話します。

コンテンツには「ストック型」と「フロー型」があります。

《コンテンツの種類》

「ストック型」:コーポレートサイト、採用サイト、採用ピッチ資料、求人募集など
「フロー型」:ブログ、インタビュー記事、Twitter、ニュースなど

田島氏:先に考えるべきなのは更新する必要がない「ストック型」です。

コンテンツシートの有用性

田島氏:採用広報コンテンツで作りやすいのが記事作成です。記事作成では5W2Hや読後感を事前に整理して「コンテンツシート」を作り構成を考えていくと、実際に書く段階で非常に楽になります。

《コンテンツシート例》

・Why:企画の目的を定める➡どのような態度変容を起こしたいのか
・What:記事の主張を決める➡ひと言で表せるくらいシンプルに
・Where:どこに出すか➡プラットフォームによりテイストが変わる
・When:いつごろ公開するか➡時期性・時事性を加味した企画案
・Who:誰が記事に出るのか➡担当者・役員などによりテイストが変わる
・How to:どんな切り口で伝えるか
・Hou much:コストはどれくらいか➡事前に把握しましょう

インタビューの事前準備

田島氏:インタビュー記事を載せる場合も多いかと思います。その際にはコンテンツシートを活用しコンセプトをしっかりと決めた上で、エピソードやキーワードを用意してもらうなどの事前準備をしておきましょう。

《インタビューの事前準備》

・「エピソード」ベース:これだけは伝えたいエピソード(2つ以上が望ましい)
・「キーワード」ベース:論旨として思い浮かぶキーワード(3~4つ以上が望ましい)

田島氏:エピソードやキーワードを用意しておくことで一気に華やかなインタビューが実現します。ですから事前準備はしっかり頑張りましょう。

タイトルの付け方

田島氏:タイトルの付け方は非常に重要なポイントです。記事が何について書いているかをシンプルに表現するパートと惹きを作るパートの両方をつけると読者を引き込みやすいタイトルになります。

・ベース:「記事は何について書いているか」をシンプルに表現
・フック:「タイトルに惹きを作る」パート

田島氏:このように考えていくと、コンテンツ制作はステップ・バイ・ステップで進めていけば必ず面白いコンテンツを、誰でも作ることができます。

まとめ

採用広報は候補者のフェーズに合わせたコンテンツ制作、そのための体制づくりやPoDの策定により、持続可能で非常に効果的なツールとなります。

自社の魅力を差別化する4Pをしっかりと紐解き、ダイレクトリクルーティングなどの母集団形成にご活用ください。

参加受付中のセミナー

あわせて読みたい

close
まずはここから 3分でわかるEight Career Design
close
まずはここから
3分でわかるEight Career Design