freeeが取り組むエンジニア採用で応募数をあげる方法
セミナーレポート
2021年1月28日 開催

スカウトの属人化から脱却!freeeが取り組む、エンジニア採用で応募数をあげる方法

登壇者

河又 涼(かわまた・りょう)

株式会社grooves Technical Lead/Sales Manager

新卒で一部上場の日系メーカーに技術営業として入社。その後、2017年に株式会社groovesに入社以来、 一貫してエンジニア採用支援に携わる。一方で数多くのエンジニア向け勉強会などでスポンサー登壇を行い、 その数は50回を超える。エンジニア目線を理解した採用アドバイスで多くの企業を採用成功に導いている。

石井 里佳(いしい・りか)

freee株式会社エンジニア採用

M3キャリアにて北海道 九州エリアの新規開拓、医師の人材紹介及びプレイングマネジメントを経験。その後マザーズ上場企業にて人事部の立ち上げを行い、新卒、中途採用、制度設計、教育研修の企画運営、労務を務める。2019年にfreeeに入社、エンジニア採用や新規流入経路の開拓を担当。

西島 洋明(にしじま・ひろあき)

Sansan株式会社 Eight事業部
Eight Career部 営業マネージャー

WEB広告代理店、GYAO、クックパッドを経て、2017年にSansan株式会社に入社。2019年にEight Career Design最初のセールス担当として立ち上げに従事。これまで1,000社以上の採用担当者と対話。

簡単にスカウトメールを作るための極意

最初に株式会社groovesの河又氏から「エンジニア採用におけるスカウト文章の構造化」をテーマに、スカウトパターンの構造設計の重要性についてお話がありました。

雛形の可変部分をパターン化しておく

スカウトメールを送る際、多くの企業が雛形を用意しているのではないでしょうか。本文や件名には候補者に合わせて変更する部分(下記赤字部分)があり、そこで頭を悩ませている方も多いかもしれません。

楽するにはパターン化の構造設計が必要

河又氏はこの変更部分についても、いくつかパターンを用意しておくのがいいといいます。今回はご覧の①〜③について解説いただきます。

①エンジニアならではの褒め言葉を

河又氏「エンジニア採用の場合は、技術に関することをできるだけ具体的に記載しましょう。自社の技術スタックをベースに書くと、それほど難しくはありませんよ。

例えば貴社がRubyを使っているのであれば『Ruby開発を中心としながらも、他の言語にも対応できるのがいいですね』とか『インフラも理解していていいですね」』といったパターンが考えられます。

一方で『豊富なWeb開発経験』というのは誰にでも使えそうな言葉なので、辞めておいたほうが良いでしょう。ひとつの職種につき4〜5通りくらい用意しておくといいですね。

エンジニアならではの褒め言葉を

②任意項目はプロフィールやドメインからヒントを

続いて任意項目は、プロフィールやドメインを参考に、5〜6種類用意しておくと良いとのこと。この部分は「教育担当だ」とか「HR領域で活躍されている」など、エンジニアならではの内容以外でも問題ないそうです。

任意項目はプロフィールやドメインからヒントを

③会社の文化や採用の状況などを端的に

ここでは候補者がほしいと感じる会社や採用に関する情報を提供するのが良いそうです。4〜6種類ほどパターンがあればよいとのこと。こちらもエンジニアならではの内容でなく、会社の文化や採用状況、また働き方や福利厚生に関することなどでも良いそうです。

このように、あらかじめ用意しておいたパターンを組み合わせるだけで、しっかりとしたスカウトメールが完成します。

会社の文化や採用の状況などを端的に

パターン選択は現場と人事で考える

ここからは、作成したスカウトメールを実際にどう活用・運用するかについてお話がありました。

まずは誰に送るかを選定します。選定の際はスカウトのデータベースをみて、プロフィールが埋まっていて、全体的な雰囲気は悪くなさそうな人を人事側でピックアップするのが良いとのこと。

河又氏「この段階で『Rubyできるかな』など、スキル判断は不要です。あくまでも『プロフィールがしっかり埋まっている人』、または年齢や現収入がマッチするかどうかという観点でピックアップしてください」

その上で、ピックアップした人材のプロフィールと①の各パターンを現場に共有し、どれがいいかを選んでいただきます。

その後、人事担当者様で②と③を選択して送信すれば完了です。

選択する手間がかかるとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、たとえすべての人に同じ内容を送るとしても、いつかどこかのタイミングでプロフィールは確認しなければなりません。そのため負荷は通常とあまり変わらないといいます。

一つの文章を考えるだけでも、意外と時間を費やしてしまうものです。いくつかの送信パターンを用意して、ぜひ効率化を図りたいですね。

freee社式 全社採用とは?

続いてfreee株式会社エンジニア採用担当の石井氏から、freee株式会社の採用の特徴についてご紹介がありました。

freeeでは現在「全社採用」、つまり社員全員で取り組む採用活動を行っていらっしゃいます。採用に関わる人数を少なくしたほうが効率的ではないかと思われがちですが、実はそれが属人化を進めることにつながることは少なくないそうです。

実際にセミナーでは、石井氏のこれまでの経験上で効率化を目指した結果、非効率だったことを3つ挙げていただきました。

効率を目指した結果、非効率になりがちあるある

これらを見て自分も当てはまると感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一方で、全社で採用を進めようとしても、なかなか現場が動いてくれずに困っていらっしゃる人事担当者様もいらっしゃるかもしれません。その点freeeでは、CTOの横路氏が、全社員に対して『自分たちが一緒に働きたい人は自分たちで探そう』というメッセージを出しているため、会社文化として浸透しているそうです。

自分たちが一緒に働きたいひとは自分たちで探そう

実際に石井氏も「役員陣に全社採用の重要性を強く持っていただいているのが、社内に浸透した要因の一つだと思っている」と語っています。

募集要項の起点は「なぜ今回募集をしないといけないのか」

freeeでは募集要件の作り方も工夫されているそうです。

以前は募集要項作成に当たり、下記のような順序を踏んでいたそうです。

1.求めるスキル・経験から定義する
2.必要なスキルセットだけを凝縮、記載する

要件だけを固めようとこのような方法をとっていたそうですが、結果的に工数がかかることに気づいたといいます。またこの方法だと、現場の理想の条件が羅列されるだけになってしまうことも。

そのため現在freeeでは、募集するチームのメンバーを全員集めて作成するプロセスを大切にしているといいます。

石井氏「弊社は、職種別にチームが分かれている状況なので、そこに関わるメンバーには基本的に入っていただいて、認識の齟齬がないかなどを確認しています。

もちろんそこには新卒のメンバーもいますよ。チーム理解を深めたり、今後のキャリアパスを考えるきっかけにもなると思っています」

また全員参加の理由には、「チームで考える」という文化を新しい社員に根付かせるという意図もあるそうです。

石井氏「弊社は創業当初から、経営陣が全社採用の意識を持っていたので、恵まれていると思います。そのため新しく入ってきた方にも同じ熱量を持ってもらえるために、、

全員で募集要項を考えたり、スカウトの振り返りを行ったりして、チームや経営陣が採用に対してどれだけ本気なのかといった熱量を感じてもらうようにしています」

人数が増えると工数も増える?

一方で、関わる人数が増えると工数がかかると思われる方もいらっしゃるでしょう。freeeではこのような形で工数を軽減しているといいます。

石井氏「一度行えば、ある程度フレームワークや軸ができあがります。問題があれば、それをどう変えていくか議論すればいいので、工数も削減できます」

募集要件を決める際に意識しているのは、『なぜ今回募集をしないといけないのか』という点だといいます。

石井氏「まずは現場で、ここをしっかり議論していただきます。

ここがしっかり決まってくると、『そのためのスキルセットは何か』『理想とする人たちが振り向いてくれるポイントは何か』という部分も、現場の温度感で醸造できるんです」

スカウトしたい人物像の認識を社内で合わせる

募集要項が決まったら、スカウトに移っていきます。その際、石井氏が効率アップのために行い、失敗につながった体験として、以下のようなものが挙げられるそうです。

1.一部のメンバーでスカウトする
2.担当者によってスカウトの返信数が偏る
3.スカウトの送信者それぞれが独自の判断で候補者を決める

一方、全社採用を行っているfreeeの場合は、スカウトを送る人選の基準を全員ですり合わせるといいます。

石井氏「『スカウトを送りたい』と思える候補者が、チーム全員で共通している環境になるように意識することが大切です。すると属人化が防げるだけでなく、誰がスカウトしても一定の効果を見込むことができます」

加えて石井氏は、先程河又氏が話した「4パターンのアプローチ」を今回のプロセスに盛り込むことによって、アプローチ力がさらに高まると語りました。。皆様もぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

面接は必ずフィードバックをもらう

続いて面接でよく起こりがちな失敗談として、石井氏は以下を挙げました。

1.面接で見るポイントとスカウトで見るポイントが異なる
2.スカウトを送っているチームまたは部署・人と面接担当の人・部署が異なる
3.面接でNGになった人のフィードバックが、スカウトを送る人たちに届かない

スカウトから面接までのPDCAサイクルを何度も回すことで、採用の精度が上がるだけでなく、必要な人が具現化されていきます。すると、採用が成功しやすくなり、結果的に効率も高めることができるそうです。

まとめ

エンジニア採用はハードルが高く、時間や工数を大幅にかける必要があるように感じてしまいがちです。しかし取り組み方を工夫することで、効率よく応募数をあげることができます。

今回ご紹介した方法を用いながら、ぜひ優秀なエンジニアを確保できる採用体系を目指してみませんか。

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