note・BeGlobalに学ぶ成果を出す採用広報の取り組みとは
セミナーレポート
2021年3月4日 開催

note・BeGlobalに学ぶ成果を出す採用広報の取り組みとは

2030年には640万人以上の人材が不足すると予想される中で、優秀で生産性の高い人材をいかに採用していくのかが、今後企業にとって大きな課題になると言われています。そこで必要となるのが、現職で活躍する優秀層へのアプローチです。

自社のことを知らない人、名前は知っていてもどんな職種があるのかなど、詳しくは知らない人にもミスマッチをなくすという意味でも、採用広報で会社のことを正しく認識してもらうことが重要です。

そこで今回は、今後より重要になる「成果を出す採用広報」の取り組みについて、note株式会社の徳力 基彦氏と株式会社ビーグローバルの今 啓亮氏にご登壇いただき、前半は採用広報についてのセミナー、後半は弊社の橋本を交えた3者によるパネルディスカッションを行いました。

その内容をダイジェストでご紹介します。

株式会社ビーグローバルについて
今 啓亮(こん・けいすけ)/株式会社ビーグローバル 代表取締役
「月額制の採用代行」の”まるごと人事”を運営中。新卒で入社したベンチャーでは3年勤務し、30名から100名に急成長するフェーズを経験。2013年に突然カンボジアで人材紹介会社を起業。2015年に東京で株式会社ビーグローバルを設立。

登壇者

徳力 基彦(とくりき・もとひこ)

note株式会社 noteプロデューサー、ブロガー

ブロガーを経てnote株式会社に入社。書籍「普通の人のためのSNSの教科書」を出版し、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやブログ、SNSの活用についてのサポートを行っている。

橋本 剛(はしもと・ごう)

Sansan株式会社 Eight事業部 Eight Career部
マネージャー

新卒でカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社。Tポイント提携営業やデータベースマーケティング事業に従事した後、2019年に弊社に入社。Eight Career部立ち上げに際し、セールス部を中心に関わる。現在は月間100件程度、社内外の人事の方と面談。

採用広報とは?

まず株式会社ビーグローバルの今氏から「採用広報とは何か」についてお話いただきました。

広報と採用広報の違い

今 啓亮 氏:
採用広報は一般の広報とは異なり「職場として認知される」」ことが目的となります。

例えば「この会社、名前は知ってるけどどんな人が働いてるんだろう」とか「外資系の会社だけど、日本法人ってあるのかな」といったことを疑問に持たれるような会社の場合、採用広報はまだうまくいっていないのかもしれません。

採用広報の良い事例

採用広報せっかくスカウトを打っても、すでにイメージができてしまっている会社の場合、そのイメージが先行してしまい、本当に伝えたいことが伝わらない可能性もあります。

だからこそ大切なのが、「職場イメージを変えたい方向に変化させる」こと。これができることは、採用広報の大きな特徴とも言えます。では、。そのためにどうしたら良いのでしょうか。私たちは、採用広報を行う前提として、5つのノウハウを大事にしています。

採用広報の前提まとめ【ノウハウ】

では、上の5つの前提を踏まえ、採用広報で力をいれるべきポイントはどんなところにあるのでしょうか?

今 啓亮 氏:
採用広報は『届け方』と『企画』が非常に重要です。
例えば、採用候補者に向けたコンテンツを届ける場合、候補者のフェーズを「エントリー前」「面接前」「内定承諾前」の3つに分け、それぞれに合わせてコンテンツを企画し、届けることで、コンテンツの効果が高まります。

届け方:読まれるタイミング【ノウハウ】

採用広報におけるオウンドメディアや記事メディアの使い方

続いてnote株式会社の徳力氏から、noteの特徴と採用における活用術についてお話いただきました。

noteの法人利用増加中
※現在のアカウント数は2,900件(無料アカウント含む、2021年3月末時点)

徳力氏は「noteを含めたソーシャルメディアは本来、コミュニケーションを取るためにある」といいます。

徳力氏:
採用広報というと、従来は広告を使って募集者を増やすという考え方がイメージとしては強いと思います。ただ、その文脈でオウンドメディアを立ち上げると、あまりにも読まれないことに愕然とするんですよね。

でもゼロからメディア作るということは、当然最初は読者もゼロですから、仕方のないことです。

ですから、先程今氏からもお話があったようにコミュニケーション手段として使っていただくことが、採用広報においては重要だと感じています。

記事をつくるならオンボーディング期間に着目を

記事の届け方

徳力氏は、応募検討期間の候補者に対する記事よりも、オンボーディング期間、つまり入社から社内に定着するまでに必要なことについて書かれた記事をつくるのが良いといいます。

徳力:
マスマーケティングならファネルの上から行うのが良いのですが、ソーシャルメディアはファネルの下から行う方がいいんですよね。
例えば「入社から社内に定着するまでに必要なこと」について書かれた記事が、内定をもらった方の入社検討の材料として役立ったりとか、候補者の応募検討要素になったりするからです。

オンボーディングで説明する内容は、入社する人が必ず知るべきことです。それを記事化しておくことで、社内研修も楽になりますし、内定者にとっても入社の検討材料になる。
そして、「あ、こういう会社なんだ」とわかるので、応募者も増えるかもしれません。

実際に弊社では、関連するnoteの記事リンクがたくさんついた「会社の沿革」という記事を作っていて、これを候補者に送っています。ここには6年以上前に、代表の加藤がnoteを始めたときの記事のリンクが含まれているなど、弊社を深く理解していただくための内容がたくさん盛り込んでおり、事前に読んでもらうことで、面接の時の会社説明の時間を減らしています。

記事の例(note株式会社の場合)

また最近だと、会社のメンバーが「事業開発として3ヶ月で行ったこと」というメモ的に書いた記事がバズったりしました。

書いた本人は、チームメンバーに伝えるために書いたようですが、実は同じく事業開発をしている他の企業の方々に読んでいただけて、それが応募のきっかけになりました。

このように社内の「当たり前」をコンテンツにすると、意外に読まれるコンテンツになり、それが応募動機につながることもあるのです。

採用広報は何から始めればいい?

ここからは当日参加されたオーディエンスのアンケート内容をもとにテーマを設定し、3名がパネルディスカッション形式で話を進めていきました。

最初のテーマは「採用広報は何から始めればいいのか」。

今氏は「採用課題から考えること」だと答えました。

今 啓亮 氏:
どうしたら多くの人に読んでもらう記事をつくれるかではなく、採用で感じている自社の課題を認識して、どうすればそれを採用広報で変えられるだろうと考えるのが一番効果が出やすいと思います。

例えば「特定の職種だけ、マッチする人がなかなか来ない」とか「エントリーや一次面接の数が少ない低い」とか「面接時に毎回『うちはそういう会社じゃなくて』と訂正する頻度の高い内容がある」など。

徳力氏:
今さんがおっしゃるように、採用広報の課題になる部分というのは、実際に面談で何度も聞かれて、何度も説明しているはずなんです。それに対してどうやって答えるのがベストなのか。私はまず、社長や社員のインタビューを文字起こしして、FAQ的な文章を作ってしまうのがいいと思います。

これはnoteでまず何から発信すればいいか、という観点においてもおすすめしたい方法です。

あと、みなさんが最初にぶつかる壁、「わたしたち文章力ありません問題」においての解決策にもなると思います。

記事が多くの人に読まれるかどうかではなく、「毎回説明するのが面倒だから、記事に起こしておいて応募前に読んでおいて」という、コミュニケーションの効率化のために始めるというのがいいのではないでしょうか。

極端な話をすれば、記事を読んで合わないと思ったら、相手から面接を断ってもらってもいいと思います。それが社員の時間の効率化にもつながりますよね。

今 啓亮 氏:
僕らが送った採用広報記事を見て「なんかこの点ちょっとずれてたんで辞退します」は、ありますね。それはすごく正しいと思います。

KPIにこだわりすぎない方が良い?

また徳力氏は、課題設定の大切さを改めて感じたといいます。

徳力:
どうしても皆さん、KPIの正解を知りたがるんですよね。ただ、ひとつの目標だけを見ていると、どうしても失敗しがちです。

例えばバナーのクリック率だけを見てしまうと、好条件で採用されやすそうなバナーを作るなど、結果的に敷居を下げすぎてしまい、目標としていたような人材が現れず、社員の手間を増やしてしまうことに繋がりかねない。

本来はやるべきゴールが一つあるはずで、そのプロセスにおけるKPIを設定するので、一つ一つに対して、どこが問題かを考えることが、実は一番大事な気はしますね。

橋本:
採用広報ってあくまでも手段ですから、採用するために何が今課題なのか、それをクリアするためにどう使うのかという順番で考えないと、結局広告的な使われ方をしてしまって、数値を追いかけるといった話になりがちですね。

人事と広報、どちらが主導すべき?

イベント中は、リアルタイムで視聴者から質問をいただきました。その中で挙がった「採用広報は人事と広報のどちらが主導すべきか」という問いに対して、今氏は「広報の人は採用広報の企画はできないと思う」と答えます。

今 啓亮 氏:
広報が企画を担当すると、「めちゃくちゃ良い会社」みたいに打ちだし過ぎてしまい、目標とする人物像とずれてしまうと思います。

ですから人事が企画を作って、広報の人に書いてもらうのがいいと思いますね。

橋本:
伝えたいことは人事が決めて、伝え方に関しては広報のテクニックを利用させてもらうイメージですね。

徳力氏:
今さんがおっしゃったとおり、大前提として、人事部門がまず課題を見つけて企画することが大事だと思います。

ただ、この質問自体がちょっと危ないなとも感じました。仕事ってどうしても「これはどっちの仕事です」と定義をしたくなるものですが、人事が採用に特化してつっ走れば、広報的なイメージが変わるリスクもある。でも、外から見ると、その発言元が人事だろうが広報だろうが、ひとつの会社としての発言なんです。だからこそ、広報も二人三脚で見ておくことが大事ですね。

従来のマスマーケティングの時代はある程度、部署それぞれに窓口があって、部署ごとに完全に違う顔を見せることができましたよね。でもインターネットの時代になると、全部が繋がっているので、例えば人事がいくら頑張って良いことを発信しても、別の部署の社員が酔っ払って変な発言をすれば、せっかくの人事の発言が結局炎上ネタとして跳ね返ってきてしまったりもします。

だからこそ、インターネット上でコミュニケーションを取ることが当たり前の今、まずできるだけクロスファンクショナルな(部署や担当にとらわれない)チームを作ることが基本になると思いますね。

まとめ

攻めの採用において重要視される「採用広報」。成功のためには、部署を超えて協力し、課題を認識し合うこと、採用広報の運用方法を決めておくことなどが必要なのかもしれません。

すでに採用広報に力を入れている企業様はもちろん、今後注力したいという企業様も、ぜひ今回の内容を参考にしていただければ幸いです。

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