こたつ用ヒーター国内シェア80%の熱源メーカー。
ニッチなニーズは、社内の共有名刺の中にある!
メトロ電気工業株式会社
1913年創業。特殊電球の開発・製造・販売を行う。白熱電球の熱源を利用した「こたつのヒーターユニット」や「産業用加熱器」などの製造に力を入れ、「愛知ブランド企業」として優れたものづくり企業としての認定を受けている。
- 目的
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アプローチ先の業界を拡げるため、社内のつながりをうまく活用したい
つながりを可視化して、ニーズのある企業を社員みんなで探せるようにしたい
- 課題
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事業の拡大により、これまでのアプローチ先とは違う業種を開拓しなければいけない
名刺管理のサービスを使用するのは20人であるため、コスト・機能面をミニマムにしたい
- 効果
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社内の名刺共有により過去のコンタクトの有無がわかるため、会話の糸口が見つかりやすい
共有名刺が可視化されたことで、名刺のリストを見ながら、社員同士でアプローチ先を探すことができる
特殊電球の製造からスタートし
こたつ用ヒーターで国内シェア80%まで成長
<お話を伺った人>
代表取締役社長川合誠治様
当社は、エジソンが発明した白熱電球の製造をするべく1913年に創業しました。一般家庭用というよりも、家電、飛行機や自動車用のパネル、高速道路の電光表示板などで使用する大小様々の特殊電球の開発・製造・販売に力を入れてきました。
大きな転機が訪れたのは、昭和30年代です。赤外線のやぐらこたつが大ヒットしたため、こたつの熱源となる「レモン球」を当社で開発し家電メーカーへの販売を始めました。これを機に、当社はこたつに力を入れることになったのです。実は白熱電球のエネルギーは、光源になるのはわずか数%で、そのほとんどが赤外線放射、つまり熱源として使用した方が力を発揮します。その特性を利用して、こたつの赤外線ヒーターの製造に応用したというわけです。
その後、机に取り付ければこたつになる「ヒーターユニット」を作り始めたことで、当社のシェアは一気に拡大します。おかげさまで現在では、こたつの市場で使われているヒーターの約80%がメトロブランドの製品になりました。2011年の震災時には、電気不足の中で「省エネ暖房」としてこたつが注目され、220万台を出荷。現在でも年間150万台程を出荷しており、当社の売上げの60%を占めています。
ニッチであり、あらゆる業種で使える。
課題は、独自の製品をどう伝えていくか
当社にはもう1つ事業の柱があります。それが、同じく電球を熱源として利用した「オレンジヒート」やその応用商品の「産業用加熱器」などの製造事業です。用途はさまざまですが、例えば食品を加工したり、工場内を効率的に温めたりする加熱装置を独自に作り、オーダーメイドで製造販売しています。
従来は、温める時はガスの利用が主流でしたが、電気を使えば換気が必要なく衛生的で、省エネかつCO2の削減につながります。さらに制御や管理が簡単になることから手間も減り、人件費の削減もできる。それでいて、ガスと同レベルのパワーが出せるわけですから、いいことづくしなんです。実際、鋳造工場で使用される低圧鋳造金型の予熱用カーボンランプヒーターは平成27年度の省エネ大賞に選ばれており、それを機にいろいろな企業様からの引き合いが増えました。
そこで、さらにビジネスチャンスを広げるためにアプローチ先を広げていくことにしました。それまでの当社は家電メーカーさんとのお付き合いが中心でしたから、産業機器の営業の仕方には少し戸惑いがありました。ニッチなものを作っていますし、それでいて分野・業種を限定するものではないので、さまざまな業界を全方位的にアプローチしながら細かいニーズを拾う必要があるわけです。
その解決策のひとつとして、社内にある名刺をもっとうまく活用しよう、というアイデアが出てきました。社員がさまざまな場所で交換する名刺を社内で共有することで、営業先の候補が増えますし、効率よくアプローチできると考えたからです。そこで最初はSansanを使いました。しかし使っていたのは私も含め営業など約20名だったので、もう少しミニマムなサービスでも良いかもしれない、と思い「Eight 企業向けプレミアム」に切り替えたのです。コスト面も機能面でもちょうど良い使い勝手なので、とても重宝しています。
共有した名刺を見ながら
営業先へのアプローチを考える
私も最近はありがたいことにいろいろな人と会う機会が増え、名刺交換をすることが多くなりました。その時に、事前に社内の名刺が共有できていると、「実は御社の○○さんと弊社の社員が以前にご挨拶をさせてもらっていて」などと会話の糸口をつかむことができます。当然、私が交換した名刺をきっかけに後から社員たちが営業することもできますし、皆で名刺のリストを見ながら「この会社にこんなアプローチが出来るかもしれない」などと話をしたりもできます。
それから、一度にたくさんの人と知り合うと、顔は浮かぶのに名前が出てこない、ということがありますが、Eightならスマホで名刺を検索して名前を確認することもできますよね。私は入社して52年になりますが、もらった名刺はずっとファイルに順番に入れてきたので、その数は8000枚以上にものぼります。その中から直近でよく会う方だけを取り込んだとしてもかなりの数になるので、その大量の名刺をスマホに入れて持ち歩けると考えたら、非常にありがたいですよね。
産業用加熱器の事業は、こたつのヒーターユニットの事業とは違い、規格品を販売するわけではないので、ニッチなニーズを拾ってかたちにしていく必要があります。そのためには、効率よくいろんな情報が共有できる環境をつくり、お客様を探しあてていくことがとても大切なのです。
「継続する会社」で
社員とその家族を守りたい
当社は仕事と生活の調和のとれた働き方ができる会社ということで、「愛知県ファミリー・フレンドリー企業」に認定されています。仕事一辺倒の生き方も、1つの人生ではありますが、それでは家族が犠牲になりやすい。私がよく社員に伝えるのは「51を仕事に、49を家族に」ということ。家族あっての仕事、仕事あっての家族だけど、最後の最後でちょっとだけ仕事を頑張ってほしい、そんなふうに思っています。
ですから、社員と同じくらい、その家族のことも大事にしたいと考えています。育児休暇は子供が小学校に上がるまで認められていますし、子ども手当も出産手当も人数に応じて手厚く支給しています。社員の慰安旅行もパートの方を含めた全員で海外に行くこともあるんです。こうした取り組みは、昔から当たり前に続けてきました。そのおかげか、社員の定着率が良くなっているのが、経営者として嬉しいですね。
当社が100年以上も続けられているのは、「ローテク」に徹してきたからだと思っています。ただし、「光り輝くローテク」です。大事なのは、世の中のためになることを、世間にあるものをまねるのではなく、ないもので実現すること。そして数を追わず、中身で勝負すること。だからこそ「ローテク」がいいのです。猛スピードで技術が進化するいまの世の中で、それに追いつこうとすれば多額の投資も必要ですし、並大抵のことではないですよね。
こたつは日本の文化です。いいものだからこそ、世界的に売れる商品だと思っています。しかし、海外から話をいただくことも多いのですが、いまのところ海外の仕様で売るつもりはありません。日本の文化だからこそ、日本でやりたい。世の中には、一時的に拡大して儲かるビジネスもありますが、大事なのは会社として継続することです。100人足らずの従業員とその家族がこの先ずっと暮らしていける、そういう会社を作ることが、何より大事だと考えています。