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【セミナーレポート】
今求められるDXセミナー〜紙からデータへ〜

これまでもデジタル化、生産性向上という声が挙がっていましたが、昨今の感染拡大により、これまで以上にリモートワークやDX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が叫ばれています。しかし、何から始めればいいのか、どういった点に気をつければいいのかなどわからないことが多く、頭を抱えている担当者様は少なくありません。

今回は、弊社Eight事業部の山田より、紙からデータに移行することの必要性やDX導入のポイントなどについてセミナーを開催。ゲストに株式会社船井総合研究所(以下船井総研)デジタルイノベーションラボ 部長の斉藤 芳宜様をお招きし、デジタル化の取り組みについてうかがいました。その一部をご紹介いたします。

斉藤 芳宜(さいとう・よしのり)/株式会社船井総合研究所 デジタルイノベーションラボ 部長
2004年に船井総研に入社後、わずか1年8ヶ月でIT業界向けコンサルティング部隊のチームリーダーを担当。現在はテクノロジーを活用し、中小企業に変革をもたらすデジタルイノベーション部隊の部長として活躍。
Sansan株式会社 山田 郷
山田 郷(やまだ・あきら)/Sansan株式会社 Eight事業部 コーポレートソリューション部・DBS Group 兼 マーケティング部
営業とマーケティングを兼務し

リモート対応型ビジネスモデルに転換する必要性

斉藤様からはWithコロナ時代の中で、リモート対応型ビジネスモデルに転換する必要性やその方法というテーマでお話をいただきました。

リモート対応型ビジネスモデル転換

斉藤様が部長を務めるデジタルイノベーションラボは、中小企業のデジタルシフトをサポートすることを目的に設立した部署です。デジタルシフト待ったなしという状況において、業績アップに直結するデジタルマーケティング、デジタルトランスフォーメーションの正しい支援を行っていらっしゃいます。

近年は新型コロナウィルス感染拡大の影響で、在宅勤務の必要性が叫ばれていますが、この状態はしばらく続くだろうと語る斉藤様。こうした中でも業績をあげていくためには、出社しなくても業務が回るような、オンライン完結型のビジネスが求められるといいます。

DXの際に必要なDXジャーニーMAPとは?

多くの仕事がリモートでできる一方、デジタル化にはこのような課題が存在するそうです。

デジタル化の課題

こうした点をクリアするために、船井総研では、デジタル化の設計図を描いているそうです。そのために活用していらっしゃるのが「DXジャーニーMAP」と呼ばれるものです。

デジタル化の設計図を描こう

斉藤様「これは、デジタル化を進めるために、業務プロセスに沿って、導入すべきデジタルツールと追うべきKPIを整理したものです。何が必要なのか、全体像を捉えて表しているデジタルシフトの設計図で、DXジャーニーと呼んでいます」

DXジャーニーMAPを構成する用語は以下の通りです。

・KGI(キーゴールインディケータ):達成したい目的、ゴール
・業務プロセス:業務の流れ
・KPI(キーパフォーマンスインディケータ):プロセスごとの大事な指標
・デジタルツール:プロセスごとに使用するデジタルツール
・CX(カスタマーエクスペリエンス):顧客体験

この中で斉藤様は、業績を上げるためにはKPIのチェック・改善が重要であること、また使用するデジタルツールを連携して、データが流れていくような仕組みを作ることが大切だと指摘します。

斉藤様「プロセスが赤く塗られている部分は、業績へのインパクトが強く、最初にデジタル化したい部分です。

重要なのは、DXでは何から始めていくかという『システム化の優先順位』。それを考えて全体像、設計図を用意しておくと、非常にスムーズに進めることができます。

一方で、バラバラとシステムを入れてしまうと、それぞれがつながらずに、結果的に非効率になります。業績を挙げていくためには、全体像をしっかり把握したうえで、システムを入れる順番を考え、整備していくことが大切だといえますね」

またDXは、社内だけでなくお客様に新しいCXを提供できるかどうかがポイントになるとも語りました。

斉藤様「少し昔になりますが、私が人生の中で一番印象的だったCXはSuicaですね。あれが初めて出たときは衝撃的で、あれこそまさに全く新しく、感動した顧客体験だったと思います。

このように、DXは社内の業務だけじゃなく、お客様に対しても大きなインパクトを与えていこうという取り組みだと考えています」

DXジャーニーMAPを作成する際の注意点

DXにおいて重要となるDXジャーニーMAPですが、作成の際にはいくつか注意点があるといいます。

斉藤様「まずは部分最適ではなく、全体最適で設計することですね。またKPIが向上することでゴールに近づくような設計になっているかどうかという点にも注意が必要です」

DXジャーニーMAPの作成方法

デジタル化の設計図を描こう

今回の講座では、DXの指標となるDXジャーニーMAPの作り方についてもご説明がありました。その順序はご覧のとおりです。

1. 業務プロセスを洗い出す
2.各プロセスで導入すべきデジタルツールをピックアップ
3.業績アップに繋がるKPIを各プロセスで設定する
4.デジタルツールのコスト試算
5.デジタルツール同士の連携の可否
6.投資回収シミュレーション
7.業績管理BI(ビジネスインテリジェンス)

4の「デジタルツールのコスト試算」では、すべてのツールの月額費用と初期費用を整理していきます。斉藤様からは、デジタルツールを選ぶうえでのポイントを挙げていただきました。

・実績があって安価なものを選ぶ
・自社のITリテラシーにあったものを選ぶ
・初期費用と月額費用を分けてコスト試算する
・システム連携に必要なAPI連携、RPA費用も入れる

また5の「デジタルツール同士の連携の可否」は、DXにおいて重要なポイントだといいます。そのうえで確認すべきことは以下です。

・ツール同士の連携が可能かをメーカーに確認する
・連携が可能な場合、それが一方向なのか双方向なのかを確認する
・連携させるデータはKPIで取るべきデータ

そして、特に重要なのが、6の「投資回収シミュレーション」です。ここでのポイントは以下のとおりです。

・人時生産性をベースにシミュレーションする
・事業計画との整合性を図る
・デジタル投資額を予算化する

中でも重要視しているのが「人時生産性」という考え方だといいます。

斉藤様「一人の1時間あたり生産性ですね。粗利 ÷ 総労働時間で出てくるもので、普通の会社だと3,000円台、生産性の高い会社だと5,000円以上になります。ここを上げていくことが、いかに少ない労働時間で最大の粗利を稼ぐことに繋がりますから、すごく大事な指標になるといえますね」

7の「業績管理BI」とはデータの可視化と分析ツールのことです。素早い意思決定のためにも、各KPIはリアルタイムに確認できるようにしておくことが大切だといいます。

斉藤様が選ぶDXおすすめツール12選

DXジャーニーMAPでもお話があったデジタルツールの選び方について、今回は斉藤様からおすすめのものを12種類ピックアップしていただきました。

DXを実現するおすすめデジタルツール

それぞれについての斉藤様のコメントをご紹介します。

・名刺管理
Sansan/Eight

斉藤様「ポイントは簡単にデジタル化していくという点です。名刺をスキャンしてデジタルデータにして、活用することができます。スキャナーが届くので、そこに名刺を入れていくとどんどんデジタル化されてくという結構便利なツールです。船井総研でもSansanを使っています。」

・見込み客集め(集客・MA)
Kairo3・Zoho

斉藤様「WEB上での細かな顧客の動きまで分析できるという点で、MA(マーケティングオートメーション)は非常に重要です。どちらもシンプルで低価格というのが魅力です」

・営業支援(SFA)
Meet in/Kintone/Zoho

斉藤様「Meet inはオンライン商談の仕組みですね。URLをクリックするだけでパッと繋がって商談を簡単に始められるという手軽さが特徴です。Kintone、Zohoは顧客管理のシステムとしてカスタマイズが簡単にできて、さらに低価格。こういったものを駆使することで効率的に、しかもオンラインで全て済むようになります」

・報連相
Chatwork/LINEWORKS

斉藤様「できるだけ簡単で、ITスキルが高くない方でも使えるものがいいですね」

・会計ソフト
freee/MFクラウド

斉藤様「いずれもクラウド対応していることが重要です。また自社にあったものを使うことも大切ですね」

・業務指示
業務指示アプリ(菱洋エレクトロ株式会社)

斉藤様「元々フランチャイズの本部が、加盟店に対する指示のために使っていたアプリから切り出されて発売されているものです。リモートでも業務指示を徹底できるツールを使うと、さらに生産性も上がっていくと思います」

DXを実現するおすすめツール

・MTG
ZOOM/Teams

斉藤様「簡単で使いやすいものが良いですよね。またリアルに近い体験ができることも大事です」

・受発注
Webセールスオフィス(株式会社ecbeing)

斉藤様「お客様ごとに専用の注文サイトがつくれるようなイメージのシステムです。特にBtoBだとお客様ごとに利益率や取引条件が違うことがあると思いますが、そういったことにも対応しています。手軽さもいいですね」

・勤怠管理
AKASHI/KING OF TIME

斉藤様「いずれも簡単で使いやすくて、他のシステムとも連動できるというのが大きなポイントです。船井総研はAKASHIを使っています。ボタンを押すだけで出勤、退勤がつけられて、簡単に労働時間を把握しやすいというのが非常に良いかなと思います」

・契約管理
クラウドサイン

斉藤様「紙があるとリモートワークが途切れるんですね。わざわざハンコを押しに出社しないといけないとか、紙で色々とやりとりしないといけないとなると大変なので、できれば紙と印鑑をなくしていきたいと。船井総研も今まさにクラウドサイン導入し、チャレンジしています」

・データ連携(RPA)
Winactor/EzRobot/RAX

斉藤様「データ、システム間の連携が非常に重要なことは、DXジャーニーMAPでもお伝えしましたが、実は連携しやすいものもあれば、そうでないものもあります。そういう時に使えるのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。ソフトウェア上のロボットに引っ張ってくるシステムと、それを入れるシステムを指示すると、その通りに実行してくれます。

今は低価格で使いやすいものも出てきていますので、こうしたものを使って連携を実現してほしいと思います」

・業績管理(BI)
DataStudio/MotionBoard

斉藤様「どちらも非常に見やすくて使いやすいツールです。経営の状況などをスマホで一目で見られるといいので、そういったものを用意できるといいと思います」

またこれらデジタルツールを導入する際には、以下のポイントに注意する必要があるといいます。

デジタルツールを導入する際の注意点

リモート対応型ビジネスモデルに転換するステップ

リモート対応型ビジネスモデル転換のステップ

最後に斉藤様から、リモート対応型ビジネスモデルに転換するための3つのステップについてお話がありました。中でもステップ2の「何をやるかではなくて、何からやるか」というのが大事だといいます。

斉藤様「デジタル化する際にやるべきことは山程あります。その順番は企業によって違ってくるので、優先順位をつけることが重要です」

これらの基本となるDXジャーニーMAPの作成については、株式会社船井総合研究所でサポート事業を行っていらっしゃいます。リモート対応型ビジネスモデル転換の第一歩として、ご興味のある方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

DXジャーニー作成サポート

DXの目的から考える名刺データ化の有効性

続いて弊社Eight事業部の山田からDXの目的と、生産性を上げていくための方法、その手段の一つとして、名刺管理およびEight 企業プレミアムについてお話させていただきました。

DXの目的

まずDXは生産性の向上、ひいては少ない時間で大きな粗利を生み出すことが最終的なゴールだといいます。そのためのアプローチとして、以下2つを挙げました。

・売上の最大化
・コストの最小化

そのための具体的な方法やアクションを示したうえで、名刺管理サービス「Eight」で改善可能な範囲は実は多岐にわたると話します。

企業向けプレミアムの貢献領域

山田「改めて『小さなコスト、最小限の単位で大きなインパクトがあるというところから始めていく』というDXの目的と照らし合わせると、Eightがお力になれる部分はかなり大きいのではと考えております」

名刺データ化と社内共有のメリットとは

続いて山田は、EightまたはEight企業向けプレミアムを活用すれば、3つのステップでデジタル化が推進できると説明。スマホで撮影した名刺情報が自動的にデータ化され、社内に共有されることで、営業のチャンスや機会を増やしていくことにつながります。

Eight 企業向けプレミアム

名刺をデータ化し、社内共有することのメリットについて、山田は「名刺に書いてあるお客様の情報や、社員の誰がいつ会ったのかという情報が網羅的に記載されている点」だといいます。

名刺データ化のメリット

山田「例えば名刺交換したお客様にすぐにお礼のメールを送ったり、アシスタントに迅速に共有することができたり。あるいはwebのセミナーや展示会で名刺交換したお客様に対して、すぐに営業を掛けたり、部下に営業に行かせたりなどという形で活用できます。

これは名刺情報がきちんとデータ化されているからこそ実現できることです。だからこそまずはデータ化されて、情報を共有するというところが非常に重要です」

名刺データを活用した営業活動が可能に

名刺がデータ化され、網羅的に情報が蓄積されると、今度はデータの活用というフェーズに移ります。以下のような活用ができるようになります。

データを活用して、営業のチャンス拡大

1.名刺情報をダウンロード
2.宛先リストを作成
3.リストを基に営業活動

具体的な活用事例として、メールマガジンによる新規のお客様との接点作り、また既存のお客様の掘り起こしなどが挙げられました。

山田「他にもタグ機能を活用して、失注したお客様や、既存のお客様の中でフォローし切れていないお客様はどのくらいいて、どんな企業を中心に営業のリソースを投下していくのが良いか。そういったことが、アプローチのリストを使って戦略的に練れるようになります」

Eight 企業プレミアムを活用して生産性を向上させた事例を紹介

ここからは、名刺をデジタル化して生産性を上げた、群馬県に本社を置く株式会社アイテクの事例を紹介しました。

山田「アイテク様は電気設備工事やシステム設計を行う企業様で、地元に根付いたお仕事をされていらっしゃいます。その中で電気設備工事については、現場監督が取引先を決めながら、多くの関係者とやり取りをしているそうです。

アイテク様導入事例

これまでは紙の名刺情報をもとにしていて、連絡先が分からないときは社内に一度電話をして連携したりと、「整理」「検索」「伝達」の流れに時間がかかっていました。ですから、プロジェクトで利益が出たとしても、この部分の生産性が高くないため、利益拡大にはなかなか繋がらなかったそうです。

そこで名刺をきちんとデジタル化して共有することで、現場の代理人、営業、バックオフィスそれぞれが、名刺情報の整理や検索にかける時間を削減でき、結果的にプロジェクトの利益拡大につながったとうかがいました」

またアイテク社は地域に根ざしていることもあり、お客様から、新しいお客様を紹介していただくことがかなり多いそうです。こうした紹介を増やしていくためには、きちんとした信頼を獲得していくことが重要だといいます。

山田「信頼を得るために、過去に自社の社員がどういったお客様と会っているのかを、代表の方がきちんと把握しておくそうです。そうすれば、先方の社長や役員にお会いした時に『実はいついつお会いしていて、こういった案件が進んでおりまして』という形でお話ができる。すると『風通しの良い会社なんだな、信頼できそうだな』と感じていただけるといいます。

こうして話が広がっていくと『実はこういう案件もあってちょっと相談したいんだけど』というふうに、新規の案件が増えていったと教えていただきました」

デジタル化推進

コストを削減するだけでなく、新規獲得によって利益を上げていくという、まさに生産性を向上させた事例といえます。

最後に

Eight 企業プレミアムは、名刺の写真を撮るだけで簡単にデータ化できるため、ITにあまり馴染みのない方でもご活用いただけます。また、Sansanよりも機能もコストもシンプルなため、デジタル化の第一歩としてご利用いただけます。

デジタル化待ったなしの状態の中で、DXを迅速に成功させるためには、さまざまなポイントを押さえる必要があります。今回の内容が、皆様のDX成功の一助になることを願っております。

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