株式会社M&Aクラウド

採用難易度が高いM&A業務経験者の採用を実現

難易度が高い採用ターゲットの為、転職潜在層にアプローチを実施。結果、候補者は給与/賞与などの待遇面ではなく、自社ミッションに共感し、業界を変えたいという強い意志をもって入社を決意。転職意向度はなかったM&A業務経験者の採用に成功いたしました。

株式会社M&Aクラウド
目的
  • M&A業務経験があり、自社のミッションに共感できる候補者の採用
課題
  • ニッチな採用ターゲットであるため、採用難易度が高かった
効果
  • スカウト代行サービスを活用したことで、採用の質が向上した
  • M&A業務経験のある優秀な人材を採用することができた

「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を」をミッションに、中小企業・スタートアップ向けM&A・資金調達マッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」を運営する株式会社M&Aクラウド。日本ではまだまだ一般化されていないM&Aを抜本的に変えていくイノベーター集団として、2015年の設立以来、多くの中小企業・スタートアップのM&Aをサポートしています。今後に向けてさらなる事業成長を目指すM&Aクラウドが、「Eight Career Design」をどのように活用し、どのような成果を得ることができたのか伺いました

テクノロジーの力でM&Aに流通革命を

<お話を伺った方>
MACAP事業本部長 村上祐也 様

MACAP事業本部長 村上祐也 様

当社が取り組む課題は「事業承継」と「スタートアップのEXIT」です。これからの日本は、少子高齢化がますます加速していきます。2020年末に公開されたTDBの発表によると、調査対象約26万6000社(全国・全業種)のうち、全体の約65.1%に当たる約17万社で後継者不在でした。また、日本政策金融公庫の調査では、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定しており、このうち「後継者難」を理由とする廃業が全体の約3割に迫るとのことです。これに対して、日本の中小企業のM&A件数は年間1,500件程度と大きすぎるギャップが発生しています。

理由としては、中小企業向けM&Aアドバイザーが国内にわずか1,000名程度しかおらず、一人あたりの年間平均成約数は1.5件と圧倒的にアドバイザーが足りていない状況だからです。当社は、この問題を外科手術的に治すのではなく、テクノロジーという「薬」を活用することで、全ての事業承継問題で悩む経営者・会社を救いたいと考えています。

一方で、若い起業家にとっては、良いアイデアがあり、チームアップもできれば多額の資金調達を行うことができるようになり、ここ数年で資金調達環境は大きく改善されました。しかしながら、スタートアップの資金調達は3,000億円超と盛り上がっているものの、IPO社数はここ数年横ばいとなっています。

日本では投資家への還元方法の約8割がIPOです。つまり、IPO以外の出口が増えないと投資家は損をすることになり、次の世代への資金循環がされなくなってしまう危険性があります。このため、どのスタートアップもEXITができる未来をつくっていく必要があります。これらの問題をテクノロジーの力で解決し、M&A業界に流通革命を起こすことが当社のミッションです。

株式会社M&Aクラウド様オフィス風景

さまざまな採用手法を取り入れたが、求める候補者には出会えなかった

M&Aアドバイザーを目指す人には、大きく2つのタイプがあります。1つはとにかくお金を稼ぎたい、という方です。よく雑誌で年収数千万円を稼ぐM&Aアドバイザーが掲載されていますが、そういった影響もあり志望されるのだと思います。もう1つは、M&Aを通して経営というものを知りたい、将来は起業したりCXO等の経営者になりたいと考えるタイプです。当社では後者の人材を求めています。

中小企業向けM&Aアドバイザーは国内で1,000人程度しかいない中で、当社としてはその中でも数は多くないと思われる後者を採用ターゲットにする必要がありました。加えて他業種であってもM&A業務経験のある人材を求めていましたので、採用難易度は高いと認識していました。このため、各種採用媒体、リファラル、人材紹介など、さまざまな採用手法を取り入れました。

それでも、会えるのは待遇面を重視する方や、M&Aの業務経験が無い方が大半でした。当社としてはあくまで、「テクノロジーの力でM&Aに流通革命を起こす」というミッションに共感し、業界を変えたいと考えるM&A業務経験者を採用することを目的としていましたので、なにかよい採用手法があればすぐにでも飛びつきたい思いでした。

ニッチな採用ターゲットであっても、転職潜在層にもアプローチができる

このようにただでさえニッチな採用ターゲットですので、当社が求める人材を採用するためには、転職顕在層以外にもアプローチをする必要性を感じていました。その時に当社代表と知り合いだったSansanの役員の方から「Eight Career Designというサービスがあるのでぜひ話を聞いてみてほしい」という依頼があり、その後に契約を決めました。

決め手は、Eightにある名刺データベースの中から、広く候補者を選定できる点です。Eightは特定の業界や職種に限定されず、また転職意思のあるないも含めて、幅広い層の名刺情報がありますので、例えば「M&A」や「経営企画」などのワードで絞れば、転職潜在層にもアプローチができるのではないかと考えました。採用難易度の高さが課題だった当社にとって、試さない選択肢はありませんでした。

スカウト代行サービスを活用し、「面談まで」の質を向上させた

はじめに候補者リストを作成しました。まず当社で要件定義を行い、名刺情報からフィルタリングを行う条件を設定、次に要件定義に従ってSansanから紹介してもらったスカウト代行サービスを利用してリストを作成しました。これらのリストに対して当社で精査を行い、スカウトを送る候補者を選別していきました。

ここで考慮しなければならなかったことが、例えば「経営企画」というワードで絞って出てきた候補者でも、主な業務内容がIRや子会社管理といったように、求める業務スキルではない方もリストに含まれる点です。そこで、リストの質を向上させるために、経営企画の後にさらに詳しい部署名が記載されていて、求める業務スキルが備わっているだろうと推測できる候補者に絞ってスカウトを送ることにしました。

次にスカウト文の作成では、当社の良さを全面にアピールするのではなく、当社に入社することで何が実現できるのか、会社として何が提供できるのかといったポイントに注力し、入社後のキャリアパスをイメージできるように作成しました。よく、当社はこれだけ素晴らしい会社ですということをアピールするスカウト文がありますが、素晴らしい会社は世の中に数多くあります。それよりも訴求すべきことは、候補者視点で入社後なにが得られるのかという「Give」の視点だと考えています。

当社でスカウト文を作成後、スカウト代行会社にお願いをしてスカウトメールを送りました。結果として、約400通のスカウトに対して30名から返信があり、他社平均よりも高い返信率とのことでした。スカウト代行サービスを活用し、当社とうまく役割分担ができたことで、面談までの採用効率を向上させることができました。

カルチャーフィット重視で共感を得られれば、転職潜在層の採用難易度は変えられる

その後、返信のあった候補者全員と会いました。初回はカジュアル面談という位置づけで、情報共有を通じてお互いのことを知り合う場としました。その後何度か面談を重ねますが、弊社ではカルチャーフィットしているかどうかを重視しています。

なぜカルチャーフィットを重視するかと言いますと、それは入社後の定着につながるからです。例えば、転職の意思があり、ポジションや給与面を優先して会社を選定している方は、もちろん全員ではありませんが、入社後にご活躍いただけずポジションや給与に変更があった場合にギャップを感じやすいでしょう。入社後一定期間を経ずに、また転職をする可能性が考えられます。一方で、当初は転職の意思が無かったとしても、会社の理念やミッションに共感し、直感的に「ここで働きたい」と思ってくれる方は、会社の軸がぶれない限り入社後も定着してくれる傾向があります。転職潜在層でも、弊社のビジョン・ミッションを訴求したうえでのカルチャーフィット重視の面談を行うことで、入社への意思を促せていければ、採用難易度は変えられると考えました。

当社からは、主な事業内容とマーケットに対する具体的な提供価値はもちろん、入社後に社員に提供できる価値について伝えており、弊社に入社いただくことでお互いがどれだけ良い未来を描けるかを一緒に考えることを心掛けております。

当初転職の意思は無かった優秀なM&A業務経験者を採用できた

「Eight Career Design」を使った採用を始めて約5ヶ月で、当社が求める優秀な人材を採用することができました。初めて会った時は、この方に転職の意思はありませんでした。しかし今でも鮮明に記憶しているのですが、カジュアル面談で当社の理念とミッションを伝えた時に、スーッと腹落ちしていく感覚を見て取ることができました。その当時、大手総合商社でM&A業務に携わられていた方だったのですが、年齢も20代半ばと若く、M&Aを通じて同年代の経営者が経営する会社のリアルを肌で感じ、これまでに見たことがない景色を見てみたいという強い意思を示してくれました

私自身も転職で当社に入社しているのですが、実は初回面談時は転職の意思はありませんでした。それでも、代表から当社の理念とミッションを聞いて、直感的に「ここで働きたい」と強く思い、現在に至っています。この方も私と同じような想いで入社してくれますので、これから大いに活躍してくれるのではないかと期待しています。1日でも早く弊社だけでなくM&A業界で活躍する存在になっていってほしいと思っています。

1人でも多くの事業承継問題、スタートアップのEXITで悩む経営者の手助けをしたい

今回の採用をきっかけにさらに強固な組織体制となりましたので、これからも1人でも多くの事業承継問題、スタートアップのEXITで悩む経営者の手助けをしたいと考えています。事業承継問題が解決できなければ日本の産業や伝統は縮小し、地域の雇用も経済も活性化しません。また、スタートアップのEXITが今よりも増えなければ、投資家からの資金調達が縮小し、イノベーションの連鎖が途絶え、日本の成長に大きな影響を与えてしまいます。これからの未来を明るいものにしていくために、テクノロジーの力で流通革命を起こし、全力で業界を変えていきたいと思います。

※インタビュー内容は、2020年9月30日時点のもの

※写真は旧八丁堀オフィス。現在は新宿御苑に移転済み

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