グローバル医療機器メーカーのArthrex Japan合同会社は、外傷整形分野の営業職の採用にSansan株式会社のEight Career Designを活用中です。希少人材ゆえに母数が限られているなか、優秀な経験者かつ、部門初となる女性営業職をスピード採用。名刺アプリ「Eight」だからこそできた採用術に迫ります。
外資系医療機器メーカーで求められる営業人材は、ドクターへのコンサルティングもできる経験者
<お話を伺った方>
人事総務部 タレントアクイジションスペシャリスト 鎌田 創様
──まずはArthrex Japanについて、事業内容や会社規模を教えてください。
鎌田様(以下、鎌田):Arthrex Japanは整形外科分野に特化したグローバルな医療機器メーカーです。アメリカに本社を構え、日本では150名前後の社員を抱えています。
整形外科は大きく分けて、スポーツ選手のケガを治療する「スポーツ整形」と、一般的な骨折などを治療する「外傷整形」の二つがありますが、当社はスポーツ整形の分野がルーツ。手術の際、いかに身体の負担を軽減し、選手の復帰を早めることができるかに焦点を当て、「関節鏡」をはじめとした低侵襲治療に特化。数多くの医療機器を開発しています。
当社の特徴の一つが、圧倒的な開発能力とスピード。競合メーカーと比較して、多くの製品を開発し、国内で上市されています。現在では、スポーツ整形の分野にとどまることなく、外傷整形分野での規模拡大や、人工関節、再生医療といった最先端分野にも注力中です。

──数多くの医療機器を取り扱うArthrex Japanのなかで、営業はどのような役割を担うのでしょうか。
鎌田:各病院やドクターのもとへ出向き、最前線で会社の売上を生み出す役割ですが、コンサルタント的な要素も多分に含む仕事だと思っています。たとえば、新製品発売時にはドクターに対して模型を用いたワークショップを実施したり、術前の打ち合わせを行ったり、実際の手術に立ち会ったりすることもありますね。営業職のなかでもかなり専門性が問われる職種と言えるでしょう。
製品に関する情報はもちろんのこと、解剖学の知識などを身に着けたうえで、患者さんとドクターの双方にメリットがある提案を考えていかなければなりません。業界経験がなくても始められるものの、知識と経験の積み重ねが必須の仕事であるため、現在当社では即戦力の経験者のみを採用しています。
特定分野の経験者をピンポイントに採用するためには、Eight Career Designの名刺情報が最適だった
──現在の採用方針を教えてください。
鎌田:2024年より本格展開したばかりの事業である、外傷整形分野の営業職採用に注力しています。営業部長と密にコミュニケーションを取りながら、「いま、どんな人が必要か」をヒアリングし、ときにこちらから提案していますね。
──Eight Career Design導入前は、どのような採用サービスを活用されていましたか。また、課題はありましたか。
鎌田:ハイクラス向けスカウトサービス、求人媒体、人材紹介などを活用していました。大手サービスは登録者が多く、スカウト数や面談数はある程度担保できましたが、どうしてもスカウトの精度には課題がありましたね。
医療機器営業は分野によって知識や経験が大きく異なります。外傷整形分野の経験者を欲しているのに、スポーツ整形分野の経験者にスカウトを送ってしまっては、即戦力とは言えません。それにもかかわらず、プロフィールに社名しか記載していないような候補者も多いため、一か八かでスカウトを送らざるを得ないこともありました。


──Eight Career Designを知ったきっかけや、導入の決め手を教えてください。
鎌田:チームメンバーが前職でEight Career Designを使っていたため、評判を聞いて問い合わせてみました。導入の決め手は、名刺情報を閲覧できるからこそ、求める経験者かどうかが一目瞭然である点と、コストがエージェントより抑えられる点ですね。エージェント経由の採用はどうしても紹介料が高くなるため、ダイレクトリクルーティングへシフトしようとしているタイミングでした。ダイレクトリクルーティングサービスのなかでも、Eight Career Designは良心的な費用感で助かっています。
──Eight Career Designの具体的な活用方法や、使ってみた結果を教えてください。
鎌田:競合他社名で検索して候補者を絞り込みました。採用においてベンチマークにしている競合メーカーがいくつか明確にありますので、その会社の対象者にはすべてアプローチするつもりで、ずばりバイネームで検索していましたね。うち厳選した約10名とカジュアル面談し、1名の採用に至りました。スカウトからカジュアル面談できた確率は約10%。名刺情報から経歴や経験を把握した状態でスカウトしただけあって、他サービスより高い割合となっています。


──スカウトやカジュアル面談で工夫したことはありますか。
鎌田:スカウトは断られない限り、しつこいくらい何度も送るようにしていました。多いときは2~3週間に1回のペースで、10回ほど同じ候補者に送ったこともありますね。「迷惑では」と考える採用担当者もいるかもしれないですが、少なくとも私は複数回送ってクレームになったことはありません。むしろ、競合メーカーに先手を打たれてしまうことのほうが痛手なので、チャンスを逃さないようにアプローチを続けています。
カジュアル面談ではまず、いかに当社に魅力を感じてもらえるかを重視して会話していました。「カジュアル」と言いつつ、「ご希望の年収は?」といったことを聞きだすような面談には、個人的に違和感を抱いていたんですよね。私自身が営業やマーケティングを経験してきたことを活かし、医療機器業界の市場動向や当社の立ち位置、これからの展望など、まずこちらの情報を具体的に伝えてから、候補者の要望を聞きだす質問を織り交ぜるようにしています。
熱烈オファーでスピード採用。競合他社に先手を打って特定分野の経験者採用に成功
──今回採用に至った1名の方について、詳しく教えてください。
鎌田:競合メーカーで外傷整形分野の営業をしていた20代女性です。ポジティブなマインドで、足しげくドクターのもとに通い、ドクターのニーズを満たし、ときに力強く提案している姿勢がとても魅力的で、ぜひ来ていただきたいと思いましたし、将来のポテンシャルも高く感じました。また、彼女は当社外傷領域初の女性営業職です。女性が活躍しやすい組織づくりを目指して、彼女が1人目のロールモデルとなってくれることを期待しています。


──ちなみにその方は当初、転職活動をされていたのでしょうか。
鎌田:いいえ。最初にスカウト送り、面談した時点では「いま転職は考えていない」とのことでした。また、お住まいの関西エリアから離れられない事情もあり、「来年、関西のポジションがオープンしたらまた声をかけさせてください」と伝えていました。
その後も、2~3ヶ月に1回には「来てほしい」「社長も部長も会いたがっている」とラブコールを送り続けていたのですが、あるとき競合他社からヘッドハンティングの声がかかったと聞きました。
どうしても逃したくない優秀な人材だったため、次年度にオープン予定だった関西でのポジションを前倒しで用意。そこからは競合他社に先手を打つかたちで、マネージャーとの面談、最終面接をスピーディーに設定し、採用に至りました。
──継続的なアプローチと、スピード感のあるクロージングの賜物ですね。その方はどんな点に魅力を感じ入社されたのでしょうか。
鎌田:スピード感ある採用に当社の熱意を感じてもらえたようです。また、ヘッドハンティングされていたのは別分野の営業だったようで、外傷整形分野の経験をそのまま活かせる当社のオファーが選ばれた結果となりました。
名刺情報があれば、仕事内容から働きぶりまで一目瞭然。狭い業界ならではのEight Career Design活用術
──他サービスと比較し、Eight Career Designが優れていると感じた点があれば教えてください。
鎌田:名刺情報を見れることに尽きますね。どの会社の、どの部署で、どんなエリアで働いていたかがひと目で分かるので助かります。また、医療機器業界は狭いので、当社にも業界内転職者が多数おります。候補者の所属する会社や部署のことは、社内で聞けばどんな会社や部署なのかを把握できます。Eight Career Designはスカウトを送る前の段階から、「名刺情報」という最新かつ信頼性の高い公式データを基に社内でチェックができる点が唯一無二でした。
──最後に、採用に関して今後の展望があれば教えてください。
鎌田:5年以内には新卒採用、未経験者採用ができるようになることを目指し、組織形成中です。新卒社員が増えれば、マネージャーや教育者といったポジションもおのずと増えていくでしょう。結果的に、マネジメント経験を積みたい中途入社社員の満足度も高められるのではないかと考えています。そのための土台固めとして、ここ1~2年は経験者の即戦力採用にフォーカスして取り組んでいく予定です。これからもEight Career Designで粘り強く、PDCAを回しながらスカウトを送り、効率的な採用を目指します。
※インタビュー内容は、2025年1月14日時点のもの
執筆・撮影:安光あずみ