Sansanの人事採用戦略 今求められる攻めの採用を考える
セミナーレポート
2020年6月30日 開催

Sansan人事の採用戦略 〜今求められる、攻めの採用を考える 〜

近年の人材不足や新型コロナウィルス感染拡大の影響などから、自社の採用戦略やスタイルの見直しを迫られている企業は少なくありません。

こうした中で、お客様からよくご質問いただくのが、Sansanの採用戦略についてです。

Sansan株式会社ではリファラル創業から14年で700人規模の会社となり、特に直近3年間においては、約400人の採用を実現しています。

今回は「キャリアデザイン」をテーマに、弊社の採用戦略について触れた無料オンラインセミナー「Sansan人事の採用戦略 〜今求められる、攻めの採用を考える 〜」の概要をご紹介します。

登壇者

金明正(きむ・あきまさ)

Sansan株式会社 人事部 副部長

2017年入社。新卒と中途採用両方の責任者であり、年間200名以上の採用を牽引。

素花 玲香(そばな・れいか)

Sansan株式会社 人事部 中途採用グループ

2016年入社。中途採用におけるオペレーション構築に携わり、現在はダイレクトリクルーティング担当としてスカウト、リファラル等での母集団形成を現在一人で担当。

菅原 章太(すがわら・しょうた)

Sansan株式会社 Eight Career部
カスタマーサクセス

2012年入社。2018年からは「Eight Career Design(エイト キャリア デザイン)」の立ち上げ・採用部門を兼務。


4つの事業フェーズごとに見るSansan流「攻めの採用」

弊社は2007年の創業以降、事業を加速し続けています。創業期から、成長期、拡大期、上場という事業フェーズを移行してまいりましたが、実は人事採用もまた、これに合わせて変化してきました。

それぞれのフェーズで行った施策や当時の会社の状況、採用戦略のポイントなどについて、金と素花が語りました。

1. 創業フェーズ「共に会社を作る仲間」を求めて

創業から2012年くらいまでの、社員規模100人ほどの時期です。このときは中途採用をメインに行っていました。

菅原:我々のサービスって世の中にあるものというよりは、『名刺管理ってそんなに価値がある?』っていうところからのスタートでした。

金:会社があまり認知されていなかった時代です。エージェントさんに紹介をお願いしていましたが、会社のビジョンに共感し、一緒に会社を作ってくれる仲間を求めていたので、必然的にリファラル採用が多かったです。

プロフェッショナルを集めつつも、特に特にサービスに面白さを感じ、普及したいと思ってもらえる人材を求めていた時代ですね。

2. 成長フェーズ CM効果が採用にも波及

表参道へのオフィス移転や、「早く言ってよ〜」のフレーズでおなじみのCMが放映開始になるなど、変化の多い時期だった成長フェーズ。その効果もあって「会社名だけは知っている」と、認知が高まりました。

金:『とにかく売るぞ』という機運が社内で高まっている中で、組織としては『とにかく採るぞ』ということで、スカウトなどとにかく色んなチャネルを使い始めた時期ですね」この前後から新卒採用も開始するなど、採用面ではチャンネルの拡充を図っています。

Q:テレビCM放映開始後、採用の面で変わった点はありましたか?

金:テレビCMが流れている会社という安心感、あとエージェントさんが候補者様に勧めやすくなったというのは、当時の担当者から聞いています。

3. 拡大フェーズ 採用を組織化

チャネルの拡大やCM効果などもあり、社員規模が200名から600名まで増えた時期です。自身もこのとき入社したという金は、当時の採用について「採用が属人化し始めてしまった」と振り返ります。

金:すごい力のあるリクルーターはどんどん採用できるけど、他の人は採用できないというような状態でした。そのために注力したのが採用の組織化です。

以前からエンジニアとその他の採用をなんとなく分けてはいましたが、ここからはしっかり分けていきました。あとは、アシスタント体制を強化したり、採用企画を作成したりしていましたね。

4. 上場フェーズ 新たなステージに移行

2018年以降は、会社の名前だけでなく、事業内容についても広く知られるようになり、売上も採用も継続して増えていく状況が続きました。ただ、会社としてはこの状況を良しとはしていませんでした。

金:当社は創業当時から『非連続の成長を求めていく』ということを常考えてやってきました。ただ、社長の寺田からもっと成長曲線に傾斜をかけていこうと。

そのため2019年からは方向性を変えて、人事と部門でプロジェクトを組み、営業の採用を強化しました。エンジニアもなんですが、それまで月2〜3名の採用を倍の人数にしようと動いていた時期です。

実際に現状の社員の内訳を見ると、3割弱ほどが営業、次いでエンジニアが23%。特に直近ではエンジニアの採用に注力しています。

金:エンジニアに関しては、結果として(採用しているエンジニアの)半数のルートはダイレクト(リクルーティング)ですね。

素花:転職したばかりのエンジニアメンバーにエージェントに登録したか、スカウト媒体は何を使ったかという社内アンケートをとりました。そうしたら、半分以上はエージェントには登録はするが、結局スカウト媒体経由やリファラル(採用)で進めたという方が多かったですね。

採用企画で「やってよかったこと・良くなかったこと」

良かったこと:スカウトをアウトソースしたこと

素花:現状、10種類くらいのスカウト媒体を利用しているんですが、採用企画ができる前はリクルーターがスカウトを打っていて、数もお任せでした。それが安定しなくて。

拡大フェーズに入り、各チャネルを最大化させる上でこの運用では難しいなと思い、スカウトはアウトソースすることにしました。

すると、まずスカウトの数が安定的に保てるんです。かつ、冷静に分析できるようになりました。

そもそもスカウトは打てているのか、返信率はどうかなどを定量的に見て、すぐ改善できます。そうすると、自ずと安定して決まるという印象があります。

良くなかったこと:採用企画の役割が迷走したこと

『採用企画とはなにか』を定義し、リクルーターと向き合って運用できる体制をつくることは重要なことだなと思います。

金:まず走り出すしかない中で、結果をしっかり出していくために、採用の責任者だった私は量をまわせるか、つまり社内リソースを考えていました。

母集団形成ができてしまえば、あとは回せるかどうかだと思うんです。ただ、集めても面接がまわるのかとか、リクルーターがそこをフォローしきれるのかとかというところが大事なので、まずは社内リソースの中でどのぐらいできるのかは考えたほうがいいですね。

人事だけで頑張らない人材採用

一方、人事と部門でプロジェクトを組み営業採用を強化した時には、半年に50名以上の採用をする必要がありました。

その際は、結果としてRPOを使って母集団形成と、一部の一次面接を外部にお願いしたといいます。

金:弊社は能力だけでなく人物面もしっかり見ます。それをエージェントさんにオーダーするのは、結構酷だと思うんです。なので、とにかく合うと思ったら紹介してくれという形で。

他にも、採用部門の事業企画からも応援をお願いしました。

50名以上もの人を採用するとなると、現場が欲しいレベル感が変わってくるんですよね。『ジュニア層はいっぱいだからシニアがいい』とか『シニアは今来てるからジュニアがいい』とか。そのあたりの温度感を事業企画と一緒に詰めていきました。

あとプロジェクトが始まるときには営業の面接官全員に集まってもらい、目線合わせや口説き方などをみんなで話し合ったりもしました。

ダイレクトリクルーティングのツールの見極め方

現在10種類もの媒体を活用しているという素花。その選定ポイントは「決まる期間やコストが見合うかどうか」だと語ります。

素花:例えば、3ヶ月に一名決まるのと、半年で一名決まるんだったら前者のほうがいいですよね。なので、きちんとシミュレーションした上で運用を始めて、実際それがどうだったのかで判断します。アウトソースする場合は、それを含めて計算しています」

また採用コストについては、全体でかかった金額ではなく、一人あたりの採用単価で考えます。仮に月に1,000万円使ったとしても、それで何人決めれば採用単価いくらですって言いきれるのならやるという感じです。

リファラル採用を成功させる3つのポイント

Sansan内で「マイミャク」と言われるリファラル採用。その成功の秘訣は3つあります。

1.社内認知の徹底
2.フローの整理
3.リファラル採用専任担当者の配置

1.社内認知の徹底

素花:これだけ人数が増えてきているので『そもそもなんでリファラルをやるんだっけ?』という点も含めて、弊社がどういう制度を設けているのかを、入社時の研修の際にお伝えしています。あとはSlackや社内TVで、定期的に情報発信しています。

2.フローの整理

素花:これは紹介してもらった社員に向けての施策です。

自分が紹介した人がどういう風に進んでいくのかってすごい気になると思うんですよ。ですので、リファラル専用のサイトを作ってそこに紹介後のステップなどの情報をまとめました。あとは選考進捗を随時紹介社員に個別で共有しています。

3.リファラル採用専任担当者の配置

素花:相談窓口として、密にやりとりができる人をおいたほうがいいと思います。弊社だと私が担当しており、実際、毎日何かしらの相談がきます。『こういう人がいるんだけどどういう風に進めたらいいだろう?』みたいな。

相談にしっかり応じることで採用数も伸びていくので、細かく対応していますね。

Eightを採用媒体として利用する場合の注意点とポイント

実はSansan内でも、Eightを使って営業担当を2〜3名採用しました。

菅原:Eightは、いわゆる転職媒体ではないので、惹きつけが結構大変でした。

素花:なので現場のメンバーと一緒にどう決めにいくかを考えました。結局現場のみんなと一緒に働くメンバーなので、そこで惹きつけてもらうのは現場のみなさんにやっていただくほうがいいかなと。

Sansan流「攻めの採用」を続ける秘訣とは

新卒・中途採用の責任者である金は、Sansanの採用について「攻め続けなければ達成できない目標の中にいる」と語ります。

金:採用人数の目標達成は当然として、現場も含めた採用体制の状況や採用ブランドも踏まえた、一段も二段も上を目指す採用というものをずっと要望されています。いろんな手法やリソース配分などを考えながら常に頑張ってます。

素花:この手法自体が『攻めの採用』だと思っています。

金:創業以来、『いや、これ難しいでしょう』って言いながら、それを楽しんで取り組む機運がチームとして作れていることが、攻めの採用を続ける秘訣だと思います。

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