DX時代の人材戦略
セミナーレポート
2021年9月8日 開催

DX時代の人材戦略 〜今後、DX人材確保のカギとなる採用・育成とは〜

業種を問わず、DXは避けて通れないテーマとなりましたが、採用戦略や人材の要件定義に関して頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

今回のセミナーは、株式会社ベネッセコーポレーションで法人向けオンライン学習動画サービス 『Udemy Business』のマーケティングを担当する古島様と、弊社で「Eight」を活用した採用サービス「Eight Career Design」に立ち上げから関わる橋本が登壇し、DX時代の採用戦略や課題に対するアプローチなどを、事例を交えてご紹介しました。その内容をダイジェストでご紹介します。

登壇者

古島 和弥(ふるしま・かずや)

株式会社ベネッセコーポレーション 大学・社会人事業本部 Udemy Businessマーケティング担当

新卒でベネッセ入社後、BtoBサービスの営業・企画・マーケティングに従事。現在は世界7000社、国内500社以上で採用されている法人向けオンライン学習動画サービス 『Udemy Business』のマーケティングを担当。厳選された6000講座を年間いつでも受講できる定額制受け放題プランを提供し企業のDX人材育成を支援している。

橋本 剛(はしもと・ ごう)

Sansan株式会社 Eight事業部 Eight Career部
マネージャー

新卒時、TポイントやTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社。営業やデータベースマーケティング事業などに10年以上従事した後、2019年にSansanに入社し「Eight」を活用した採用サービス(Eight Career Design)に立ち上げから携わってきた。現在、セミナーの企画運営・広告等をマーケティング責任者として取り扱っている。

DX人材の採用に向けたインハウスリクルーティング戦略

これまで多かった「人材紹介会社に相談し、面談を経て採用を決める」という形は、採用が会社に依存してしまい、優秀な人材が採用しづらいという課題がありました。

これからの採用は候補者の母集団を作成・育成していくことが大事になってくると考えています。

<これから求められる採用の流れ(例)>
1 経営層と人事とで話し合いをし、採用要件を固める
2 市場から自ら発見し、選定する(求める人材を人材紹介会社さんに相談、も有)
3 お声掛けをする母集団を作成
4 母集団から育成
5 書類選考/面談
6 採用決定

これまでは「入ってくれる人材をいかに採用するのか」が大事でしたが、今は「いかに求めている人材を採用するのか」がポイントになります。

そのため人事には今後、求める人材に対して企業が直接働きかけ採用するインハウスリクルーティング(ダイレクトリクルーティング)が求められるでしょう。

採用の新しいカタチ

橋本:ここで大切なのが「どんな人材を求めているのか」(要件定義)です。DX人材の採用に関しては、大きく3つの課題点が挙げられます。

<DX人材採用の要件定義における課題>

・なかなか要件定義できない
・母集団形成ができていない
・惹きつけがうまくいかない

DX人材採用における課題点

橋本:それぞれの解決ポイントを見ていきましょう。

DX人材採用における課題 – ①要件定義できない

橋本:まずは「求めている人材」の解像度を高めることが大切です。求める人材像の理想が高すぎたり、「AI/DXに精通している人」など要件定義が粗いと、本当に求めている人材を紹介してもらうことは難しいでしょう。また自社でアプローチしようとしても、事業部が求める人材とズレが生じて、採用に至りません。

大切なのは、事業部と採用側が細かく会話をしながら、絶対条件となる求める人材像の要件を決めていくことです。

要件定義が難しいと感じた時には、活躍している社員の共通点を可視化して、求めている人材の要件を細かく確認します。働く企業や年収、スキルまで細かくイメージすることがポイントです。

候補者要件定義は解像度を重視

橋本:実際に弊社でDX人材採用の際に取り組んだことは大きく2つあります。

<SansanでのDX人材採用の際の取り組み>
・自社が必要とするDXの定義を明確にしてから人材をイメージする
・人材要件の取捨選択をする

「中小企業支援のDXの課題にあったプロダクトを提案推進できる人材が必要」という要望が現場から出た場合は、自社が必要とするDXの定義を明確にしてから、必要な人材をイメージするための要件定義を決定します。

その後「実際にどういう人にアプローチをするのか」について、かなり細かく事業部とすり合わせします。ここでは欲張らず、要件を取捨選択することが大切です。

Sansan DX人材採用に取り組んだこと

DX人材採用における課題 – ②母集団形成ができていない

橋本:労働人口が減少している今、潜在層へアプローチしなければ、求める人材に出会うのは難しい状況です。もっと言うと「求める人材はどこにいて、誰にアプローチすればいいのか?」を、範囲を広げながら検討していく必要があります。

橋本:弊社では、ダイレクトアプローチをする必要性を4象限に分けて、それぞれどんな手法を使うのかを規定します。

<4象限の例>
・そもそも応募が自社にほとんど集まらない
・応募が一定数集まる
・世の中に対象者がすごく多い
・世の中に対象者がそもそも少ない

弊社の場合、名刺の情報を活用してデータを分析するようなデータサイエンティスト職などの採用が多いことや、積極的に採用ブランディングをしていることなどから、応募は一定数集まります。

その場合は、人材紹介会社などと連携を強化しながら「安定的に候補者を紹介いただくようお願いします。もし、それでもなかなか集まらない時にはダイレクトアプローチを強化していくなどしています。

ダイレクトアプローチする必要性

橋本:一方で、事業責任者/新規事業の開発者に該当する方は、自社にコミットしている方が多いので、なかなか転職市場に現れません。その場合は、自社の社員に知人・友人を紹介してもらい採用するリファラル採用でのお声掛けに切り替えることもあります。

このように弊社では、求めている人材の採用難易度と課題を照らし合わせながら最適な手法を選んでいます。

ダイレクトアプローチする必要性

橋本:仮にそのタイミングで採用に至らなかった場合でも、継続的にコミュニケーションが取れるようにタレントプール(※)を形成して、一期一会の出会いができる採用体制を強化しています。

※タレントプール:自社のニーズに合う人材情報を溜めておくこと。

DX人材採用における課題 – ③惹きつけがうまく行かない

橋本:採用成功には惹きつけが重要です。

<惹きつけが必要な3つのタイミング>
・カジュアル面談
・選考中
・内定通知後

惹きつけが必要なタイミング

特に弊社ではカジュアル面談を非常に大事にしています。

橋本:カジュアル面談は、候補者の方に「応募しよう」と思ってもらうきっかけを作る場です。そのため、事業責任者や事業担当者など、多様なメンバーが対応することが多いです。対応担当者には必ずマニュアルを渡して、カジュアル面談の目的や達成したいことがブレないようにしています。

<主なマニュアル内容>
・志望動機をしっかり作る場所として設定すること
・ある程度決まった時間配分で対応すること
・伝えてほしいこと

こうして決まりを作ることで、誰が対応しても「志望動機を作る場」というゴールがズレないようにしているんです。

カジュアル面談:目的の設定は明確に、共通認識を図る

橋本:面談担当者を選定する時には、目的によってアサインする社員を変更できるよう工夫しています。

<例>
・候補者を見極めたい:候補者と全く違うタイプの面談担当者
・弊社を候補者の第一志望に近づけたい:所属(予定)先の上長
・優先して採用したい:事業部長

面談担当者アサイン

橋本:こうしたDX人材の採用において弊社でも活用しているのが、Eight Career Designです。

Eight Career Designは、「プロフェッショナルリクールティング=希少な人材が見つかるサービス」として、2019年から多くの企業様に導入していただいています。現職で活躍する人材に対して直接アプローチでき、エージェントさんではなかなか紹介されないような方々に出会えたり、攻めの採用につながるサービスです。

Eight Career Design でできること

橋本:こうした新しい採用手法を取り入れることも今後必要となってくるでしょう。

Eight Career Design の活用事例

成果につながるDX人材育成

ここからは古島氏から、育成をテーマにご講演いただきました。

社内で育成すべき人材はどんな人材か?

古島氏:IPA(情報処理推進機構)によると、DX推進に必要な人材は以下の6つの分類にまとめられます。

<DX推進に必要な人材>
・プロデューサー
・ビジネスデザイナー
・エンジニア/プログラマー
・アーキテクト
・UXデザイナー
・データサイエンティスト/AI

プロデューサー、ビジネスデザイナー人材は、昨今新しく出てきた職種です。こうした職種がDXには必須と言われています。

DX推進の分類

古島氏:同じくIPAの調査では、2つの職種の充足方法について、約8割の企業が「既存の人材から育成」と答えています。

一方で、約6割の企業が「不足している」と回答しています。エンジニアの不足状況は40%くらいなので、プログラマー/エンジニアよりも社内で不足している、と感じている人事担当の方が多いということがわかります。

DX推進人材 充足方法と不足状況

古島氏:こうした人材の社内育成がなぜ難しいのか。全国の人事担当者を対象に、2021年7月に弊社独自でアンケートを行った結果がこちらです。

<デジタル人材の育成に対して感じている課題>
1位 社内の育成を担える人材やノウハウが不足している(46%)
2位 社内で育成すべき人材要件やスキルマップが策定できていない(35%)
3位 社員が既存業務に忙しく取り組みに参加できない(31%)

DX人材育成課題

古島氏:弊社の「Udemy business」は、こうした社内での育成課題に対応できるサービスです。ここからは弊社のサービスも取り入れていただき、社内育成の課題を乗り越えられてこられた企業様の事例をご紹介します。

Udemy Business導入企業事例

今回は、Udemy Businessの導入により、社内でのDX人材育成課題を解決された「株式会社三菱UFJ銀行様」「富士通株式会社様」の事例をご紹介いただきました。

事例1:株式会社三菱UFJ銀行様

<目的と課題>
目的:従来のサービスに留まらない付加価値をつけたサービスを作る必要性課題:
・全行員のデジタルリテラシーの底上げ
・学習意欲の高い層が自主的に学べる環境整備

Udemt business導入後>
・全行員にデジタル入門講座を展開
・褒章(インセンティブ)ありのデジタル認定制度を開始。報奨金など学ぶ理由を後押し
→オンライン学習の利用人数や学習時間が大幅に増加

<特徴>

・オリジナル入門講座を導入
デジタル入門講座として作成されている講座では、「プログラミングとは?」などの基礎的な内容から開始。デジタルに抵抗がある行員の方々も抵抗感が少なくなるような内容に。

・日々使っているオペレーションシステムの裏側を事例として紹介。
学びの必要性に疑問を持っている行員に学習の必然性をわかりやすく伝えることを意識。
→取り組みスタート以降はUdemy Businessの利用数が約4倍に。


事例2:富士通株式会社様

<目的と課題>
・IT企業からDX企業への転換に伴い、全社員が最先端の技術をキャッチアップできる環境の整備
・既存の研修ではスピード感をもって提供できない状況で、「会社が社員に求めている仕事」と「社員のキャリア実現」をどう両立させていくか

Udemy Business導入後>
・1on1制度の中で、受講履歴をもとに上司が部下に学びがキャリアにつながるようなアドバイスを提言

<特徴>
・FLX(Fujitsu Learning EXperience)という富士通自社の学習ポータルサイトの活用
・社員が各々の専門領域についてTEDの用なプレゼンテーション動画をアップする「Edge Talk」というコンテンツを用意。社員が専門知識をシェアするという文化を作りあげている。

2社の事例まとめ

古島氏:それぞれの課題やお取り組みをまとめると以下のような工夫が見られます。

<課題→取り組み>
・育成人材・ノウハウ不足→外部サービスを使い、さらに自主学習を促して、一人一人にあったコンテンツを提供する
・人材要件策定→自社のDX戦略に基づいて策定
・社員の参加→学ぶ理由と文化を作る

まとめ

従来の採用方式から脱却し、人材の要件定義をきちんと行い、母集団を形成した上で、惹きつけをしっかり行っていくこと。それがDX人材採用の肝となりそうです。

また自社でのDX人材育成では、以下のステップを踏むことが成功につながることが、事例から読み解けます。

1.外部サービスも活用しながら個別最適化を図る
2.自社のDX戦略に基づいた必要人材を策定する
3.学ぶ理由と文化を作る

自社の人材育成とともに、外部から迎える必要が場合は、Eight Career Designなどのダイレクトリクルーティングのサービスをぜひお役立てください。

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